健康食品・医薬品

納豆の伝統価値向上を目的に「おかめ 納豆サイエンスラボ」が発足、免疫力が強いとされる「S-903納豆菌」のインフルエンザ予防効果などを紹介

2016.12.20 22:45 更新

 日本の伝統食品である納豆の健康価値を向上させていくために、「おかめ 納豆サイエンスラボ」が設立された。「おかめ 納豆サイエンスラボ」では、納豆に関する正しい知識や健康価値、その重要性を伝えることを目的とし、子どもから高齢者まで、あらゆる年代の人々に役立つ情報を発信していくという。この一環として、12月15日にセミナーを開催。ナットウキナーゼの発見で有名な倉敷芸術科学大学の須見洋行先生から、納豆や納豆菌の健康価値に関する基本情報を紹介してもらった他、免疫学の専門家である国立研究開発法人 産業技術総合研究所の辻典子先生から、納豆菌に関する最新の免疫機能について説明があった。さらに、新たに発見された納豆菌の中でも、とくに免疫力が強い「S-903納豆菌」についての紹介や、中部大学の林京子先生が「S-903納豆菌」のインフルエンザウイルス感染に対する予防結果検証試験の結果について説明した。

 まず、倉敷芸術科学大学 生命科学部 生命科学科 特任教授の須見洋行先生が、「世界に誇る納豆-その素晴らしい健康効果(納豆研究と今後の展望)-」について講演を行った。「納豆は日本独自の無塩大豆発酵食品であり、納豆菌は澤村博士によって単独納豆菌説(明治38年)が提唱された」と、納豆菌の根源について紹介。「納豆菌は極めて熱に強いグラム陽性の桿菌である。そして、納豆は日本海軍を中心に赤痢などの予防、治療に使用されてきた」と、優れた健康作用が認められたことから、戦争下では医療分野で利用されることもあったという。「納豆は単なる栄養剤ではなく、血栓溶解作用(t-PA産生亢進も含む)、骨粗しょう症予防、アンチエイジング効果が期待されている」と、健康食品として評価されてるのだと説明する。「納豆菌の産生する抗菌物質は、酒酵母や病原性大腸菌(O-157)の増殖抑制作用がある」とのこと。「納豆菌は乳酸菌などを増やして、整腸作用がある」と、腸を健康に保つ手助けもしてくれるのだと力説する。「納豆は健康に良い食材として広く認識されており、肌の健康にも役立つ」と、美容効果も期待できると説く。「納豆にはアレルギー抑制作用が認められており、今後の研究の1分野として免疫系への影響に興味が持たれている」と、納豆に関する新たな分野への研究が進められていることも教えてくれた。

 次に、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 免疫恒常性研究特別チームの辻典子先生が、「納豆菌による免疫機能向上の可能性について」講演を行った。「がん・感染症を予防する力である感染抵抗性と、リウマチ・腸炎・アレルギーなどを予防する力である抗炎症力は、食べ物によって変わる」と、私たちの体内に存在する予防する力の源は食べ物にあるのだと説く。「そして、納豆はプロバイオティクスとして有力な食材の可能性を秘めている」と、菌体成分や菌の産生物質が働く成分なのだと説明する。「納豆菌(発酵食品)の、樹状細胞など免疫細胞を通じた免疫機能向上のメカニズムがわかってきており、今後の発展が期待される」と、納豆菌の免疫機能の研究がさらに進んでいく可能性があると力説する。「多様な食材や刺激による免疫機能の向上が必要であり、日常に摂れる納豆で免疫応答能力を高めることは有意義であると思われる」と、納豆の摂取によって免疫応答能力を高めることは、免疫機能向上につながると、辻先生は語っていた。

 そして、「S-903納豆菌」についてタカノフーズ 開発部門の赤田圭司氏が紹介した。「当社は、『おかめ納豆』『おかめ豆腐』などを製造販売。納豆工場は全国に8ヵ所、豆腐工場は関東に2ヵ所ある。創業は1932年で今年で84年になる」と、会社概要を紹介。「当社では、納豆菌の研究で、商品の美味しさにつなげている。たとえば、従来よりも柔らかい納豆を作り出す菌を見出したり、従来よりも粘りや旨味が強い納豆を作り出す菌を見出している」とのこと。「また、従来よりも甘みを残す納豆を作り出す菌を見出している」と、様々な研究成果を商品に落とし込んできたと説明。「さらに、従来よりも柔らかい納豆を作り出す製法も開発した」と、製法の他、被膜がない容器などの研究も行っていると話していた。「当社は、現在2000株の納豆菌を保有。このうち、免疫に対する高い機能性を持つ納豆菌株の選抜など、様々な研究を行っている」と、納豆菌の免疫に対する機能性研究も行っているとのこと。「免疫力を高めることをキーワードに当社が保有する菌株の中から選ばれたのが、『S-903納豆菌』となる」と、同社にとって903番目に登録された菌株として、免疫に対する機能性を高めた納豆および抗アレルギー用組成物として特許登録もされている納豆菌であると教えてくれた。

 この「S-903納豆菌」の研究結果について、タカノフーズ 研究部門の小林知世氏が紹介した。「動物試験の結果から、S-903納豆菌の摂取によって、鼻汁漏出抑制効果があることが示唆された」と、モルモットを用いた研究結果を解説。「ヒト試験の結果から、通年性アレルギー性鼻炎患者においては、粘膜免疫を向上させ、鼻炎症状を改善する可能性が示唆された。花粉症患者においては、鼻炎症状を緩和し、QOLを改善させる可能性が示唆された」と、アレルギー性鼻炎と花粉症の症状が緩和される可能性があることもわかったのだと語っていた。「今後も新たな健康効果の研究を進めていく」と、S-903納豆菌について今後も研究を行っていく予定であると話していた。

 最後に、中部大学 生命健康科学研究所 客員研究員の林京子先生が「納豆・納豆菌のインフルエンザ予防効果について~“S-903納豆菌”の“インフルエンザ予防効果”の最新研究結果~」について講演を行った。「現代社会において、社会の高齢化やストレスの多彩化、がん患者や生活習慣病患者の増加、臓器移植者やエイズ患者の増加などから、防御機能(免疫力)が低下した人たちが増加している。それだけに、病原微生物に感染しやすく、重症化しやすい」と、感染症に対抗する免疫力がなぜ重要なのかを説く。「腸管に免疫細胞の60~70%が存在する。腸管は“内なる外”であることから、外から直接制御することが可能だ。つまり、口から摂取する物質によって免疫力を高めることができる」と、私たちの体のどこに免疫機能が存在するのかを解説。「S-903納豆菌のインフルエンザ治療効果を研究したところ、マウスにS-903納豆菌を経口投与すると、投与量依存的に肺のウイルス増殖と気道のウイルス増殖を抑制した」という。「また、投与量依存的に血清の中和抗体産生を刺激した。そして、気道の中和抗体産生も刺激した」と、感染した生体では、病原体の様々な成分に対して抗体を作るが、これらの抗体のうちで、病原体の感染力を失う(=中和する)働きを持つ中和抗体の産生を刺激することが確認できたとのこと。「S-903納豆菌は、インフルエンザに感染する1週間前から摂取すると、ウイルスの増殖を抑え、かつ抗体量を高めた。従って、S-903納豆菌には、インフルエンザ予防効果が期待できる」と、研究結果をまとめていた。

おかめ 納豆サイエンスラボ=http://www.natto-science.jp/


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