健康食品・医薬品

機能性表示食品における2016年の注目成分、ガセリ菌ヨーグルト・大麦ごはんに期待高まる

2016.04.08 19:55 更新

 2015年4月から消費者庁は機能性表示食品制度を開始した。これまでに273件もの届出受理がなされ(3月30日時点)、機能性の表示が認められている。各社がこぞって申請に行列をなす機能性表示食品だが、専門家ではどのような食品や成分に注目しているのだろうか。これから期待の高まる成分についてピックアップした。

 近日に機能性表示食品の届出が受理されている商品を見てみると、新商品といえども、すでに以前受理されたものと同様の成分を使ったものが多く、これらは販売が伸び悩んでいる印象だ。また、トクホと同じ機能・成分で機能性表示を取得しているものについても、トクホで認められている範囲を超えない範囲でしか訴求ができないため、あまりメリットがないのが現実だ。

 しかし、トクホではいえなかったクレームが機能性表示で明記できるようになった場合は印象的な商品アピールに繋がるので、機能性表示の受理の意義は大きいといえるだろう。例えば、乳酸菌、ビフィズス菌などの“菌”に関する商品はトクホとしても売れ筋だが、機能性表示食品への届出でトクホでは認められていなかった「体脂肪が気になる方に」というクレームを乳酸菌で取得できている。雪印のヨーグルト「メグミルク 恵」に入っているガセリ菌がそれに当たる。“菌”に関して認知度の高い整腸作用などにとどまらず、人気の高いダイエットへのメリットをより強く打ち出していけるので、今後の販売促進に直結するとみられている。機能性表示食品市場の中でもヨーグルト製品は非常に広いシェアを占めており、年間3500~3800億円の市場であるといわれている。その市場の中で、新商品の割合は1割程度。つまり、新しい機能性をもった商品が出ると、一気に300~400億円を売り上げる商品になる可能性もある。他の機能性表示食品と比較しても桁が違うので、そういった意味ではヨーグルトの中でも新しいクレームができるものが今後も注目を集めるのではないかと思われる。

 また既存の受理成分と同じ機能クレームをしている商品でも、成分自体に独自性のあるものは注目される。例えば、「糖の吸収を抑える」「おなかの調子を整える」というクレームをしている機能性表示食品は多くあるが、成分の名称自体が既視感のある、真新しさに欠けるものだと苦戦する傾向にある。注目すべきは、トクホ認可成分ではなかった、機能性表示食品において新たに機能表示が認められた成分。例えば、「糖の吸収を抑える」「コレステロールを低下させる」「おなかの調子を整える」という機能が認められている大麦β-グルカンは、大塚製薬の「大麦生活」大麦ごはんというレトルトパックのごはんが機能性表示を認められたことを皮切りに、複数商品の認可が進んでいる。大麦という天然の食材自体の機能が認められているという点からも多方面から関心が寄せられている。日本ではまだ始まっていないが、大麦はヨーロッパ全域とアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでは健康強調表示が認められており、日本においてもその機能性の浸透が加速度的に進む可能性がありぞうだ。

 その他にも期待できるのが美容成分の分野。スキンケアの機能性表示食品は比較的少なく、キューピーの「ヒアロモイスチャー240」のように肌の保湿を訴求する機能のものしか認められていない。女性に一番人気の分野であることは間違いないので、多様な機能性クレームが生まれていくことで市場が活性化すると考えられる。

 これから注目すべきは「目」、「ひざ関節」、「睡眠・メンタル」、「疲労」、「免疫系」の5ジャンルといわれている。世界的に見ても、アイケアは新分野。成分としてはルテインやアスタキサンチンといったものが出てきている。「ひざ関節」について、グルコサミン、コラーゲンという成分はよく知られているが、機能性表示として初めていえるヘルスクレームであるため、さらに注目されるジャンルとなるかもしれない。「睡眠・メンタル」はグリシン、テアニンなどの成分になるが、この成分を含んだ食品で効き目を大きく実感できるものが上市されると話題を集める可能性は高い。「疲労」はテアニン、ギャバという成分が注目株だが、これらは血管を拡張する構造を持つため、冷えにも効くといわれている。「免疫系」については、直接“免疫を高める”とクレームできる商品は出てきておらず、“目や鼻の不快感”という訴求に留まっている。“免疫を高める”とクレームできる成分や商品が上市されると、注目できる分野となりそうだ。

 ガセリ菌SP株は乳酸菌の一種で、悪玉菌を抑え腸内環境を整える善玉菌。胃酸や胆汁に強いため、生きたまま腸に届いて定住することが確認されており、また日本人由来の菌であるため、馴染みやすいといわれている。整腸作用が期待できるほか、体脂肪の増加を抑える機能がある(出典:雪印メグミルク 「ガセリ菌SP株」長くとどまる乳酸菌 商品ページ)。

 大麦β-グルカンとは食物繊維の1種で、大麦に多く含まれる成分。水に溶ける水溶性食物繊維で、糖の吸収を緩やかにする効果があり、食後の血糖値上昇を抑制するので低GI(GlycemicIndex)食品として話題となっている。さらに、強い粘性でコレステロールを吸着・排出。善玉菌のエサになるなどの働きもし、免疫系をコントロールしているともいわれる話題の腸内フローラ(腸内細菌叢)の善玉菌比率改善にも繋がる。大麦β-グルカンを含む食品の摂取によって、糖質の吸収が53%の抑制されることが報告されている。また、朝食に大麦を食べると、朝食の直後だけでなく、昼食や夕食の糖質吸収を抑制することも分かってきた。最初に食べたもの(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)の血糖値にも影響を及ぼすこの持続作用は「セカンドミール効果」と呼ばれており、ある研究では朝食に大麦を摂取した被験者の昼食後の糖質の吸収が、白小麦パンを摂取した被験より44%も抑制されたという結果も出ている。

 メチル化カテキン(エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート)は紅富貴(べにふうき)という茶品種に多く含まれる成分で、ハウスダストやほこりなどによる目や鼻の不快感を軽減することが報告されている。アレルギーを抑制する可能性があり、花粉症対策としてもその効果に近年期待が高まっている(出典:アサヒ飲料 めめはな茶の機能ホームページ)。

 一般消費者700名を対象にアンケート調査を行ったところ、機能性表示食品について「明確に知っている」と答えたのは28名に留まり、全体の4%しか正確に認識していないということが分かった。男女で比較すると、「明確に知っている」または「なんとなく知っている」と答えたのは男性が151人であったのに対し、女性は181人で、さらに「名称をアンケートで初めて知った」と答えたのは男性が63人であったのに対し、女性は39人だった。この結果から、名称自体への認知は女性のほうが比較的高いということが明らかになった。

 また、機能性表示食品を認知している人の数を年代別に比較すると、10代が圧倒的に低く、60代・70代の健康に関心の高いとされるシニア世代の数が最も高くなった。20代も50代と並んで3番目に数値が高い年代だったことから、若い世代でも徐々に浸透してきているということがうかがえる。

 さらに、機能性表示の対象となる成分についての認知度を調べたところ、ビフィズス菌527人、ラクトフェリン346人、ルテイン211人の順に認知度が高かったものの、その他の成分(難消化デキストリン、ヒアルロン酸Na、アスタキサンチン、大麦β-グルカンなど)については、すべて3割を下回る結果となった。また、さらに各成分の機能まで知っているか尋ねると、すべての成分への認知が大幅に下がり、成分名称認知とあわせ、機能の認知獲得をすることがメーカー各社の今後の課題といえそうだ。それぞれの成分を含む食品の購入経験については、ビフィズス菌製品が圧倒的多数。また、700人中313人(44.7%)がなんらかの機能性表示食品の購入経験があった。

 機能性を表示することができる食品は、これまで国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていた。そこで、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者の人々がそうした商品の正しい情報を得て選択できるよう、平成27年4月に、新しく「機能性表示食品」制度がはじまった。

 特定保健用食品(トクホ)は、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品のこと。表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可している。
 
 栄養機能食品は、一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品のこと。すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができる。
 
 機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のこと。販売前に安全性および機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものとなる。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではない。


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