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「サントリー天然水」ブランドを展開するサントリーが「水分摂取による健康増進効果」に関する研究発表、習慣的な水分摂取には健康ベネフィットがあることが明らかに

2020.09.08 18:18 更新

 サントリーグローバルイノベーションセンターは、「水分摂取による健康増進効果の検討」に関する研究を実施し、習慣的に起床後と就寝前2時間以内に水分摂取することには複数の健康増進への効果があることが認められたと発表した。この研究は4月20日に、栄養学の分野で国際的に権威のある科学雑誌「Nutrients」に採択されている。健常なアジア人(日本人)男女を対象とした、習慣的な水分摂取介入による健康増進効果の可能性を検討した研究は、今回がアジアで初となるという。

 水はヒトの体内で最も多い成分で、成人では体の約60%を占めており、様々な役割を果たしている。実際に、ヒトは水分摂取をしなければ数日間しか生きることができないといわれている。水分摂取と健康に関する研究が欧米では盛んに行われており、水は栄養素のひとつとして捉えられ、公的機関によって適正水分摂取量が定められている。一方、日本でも水の重要性は理解されているものの、日本人を対象とした水分摂取量の実態調査や水と健康に関する科学的根拠が不足していることを理由に、水は栄養素としては認められておらず、摂取基準も定められていない。

 そこで今回、国産ナチュラルミネラルウォーター「サントリー天然水」ブランドを展開するサントリーグループの基盤技術研究を担うサントリーグローバルイノベーションセンターでは、「水と生きる」を理念に掲げる企業として、水分摂取が人々の体にどのような影響を及ぼすかということを科学的に捉え伝えていくことで、生活者の健康維持・増進につなげたいという想いのもと、「水分摂取による健康増進効果の検討」に関する研究を実施した。

 研究では、健常日本人男女を対象として、起床後と就寝前2時間以内の習慣的な水分摂取による健康増進効果の可能性を検討した。具体的には、被験対象となった50歳以上75歳未満の日本人男女60名を、ランダムに介入群と対照群に分け、介入群には普段の生活に加えてペットボトル入りの水550mlを、朝は起床時から2時間以内に1本、夜は就寝前2時間以内に1本、1日合計2本(1100ml)を12週間継続摂取してもらった。対照群には普段通りの生活を12週間送ってもらった。

 この結果、起床後と就寝前2時間以内の習慣的な水分摂取により、(1)血圧低下、(2)体温上昇または低下抑制、(3)腎機能低下抑制、(4)血中老廃物希釈への効果--の4つの健康増進効果が認められたという。同研究で見出された効果は、水分摂取量増加によるものか、朝・晩のタイミングによるものかは現段階ではわからないが、健常人においても、水分摂取習慣を変えることで複数の健康ベネフィットがあることが示された。

 血圧低下については、起床後と就寝前2時間以内の習慣的な水分摂取により“上の血圧”といわれる収縮期血圧(SBP)が、研究開始から終了まで、経時的に低下した。一方、“下の血圧”といわれる拡張期血圧(DBP)には変化はなかった。血圧低下のメカニズムとして、習慣的な水分摂取による腎機能改善により体内の余分な塩分や水分が排泄されたことや、血圧上昇に関与するホルモン分泌が変化した可能性など、様々な要因が推測されるが、血中成分の濃度が低下していたことから少なくとも血管の抵抗が小さくなったのではないかと考えられる。さらなるメカニズムの検討には、尿量や尿中への老廃物排泄濃度、血圧に関与するホルモン分泌についても調べる必要があるとしている。

 体温上昇または低下抑制については、対照群が1週目から8週目にかけて0.2℃低下したのに対し、介入群では、0.08℃上昇した。同研究は9月から12月にかけて北海道札幌市と江別市で実施し、月ごとの平均気温は18.9℃から-1.0℃に推移しました。対照群は季節変動で体温が低下したのに対し、介入群は習慣的な水分摂取によって、その低下を抑制したと考えられる。

 一般的には、脱水が進むことで体温調節が障害されること、また、加齢にともない皮膚血管の反応性が鈍くなることや、皮膚血流が低下することから、体内から熱を奪われやすくなると考えられている。介入群は、習慣的な水分摂取によって体内水分状態がよい状態になり、体温調節機能低下を改善し、体温低下抑制効果がみられたと推察される。さらに、体温上昇が代謝や免疫機能にも影響することが知られていることから、水分摂取介入によって体温維持または上昇させることで、代謝促進や免疫機能向上にもつながる可能性があると思われる。

 腎機能低下抑制については、介入群の、血液中老廃物の指標のひとつである「尿素窒素(BUN)」の数値が低下したことから、習慣的な水分摂取によって老廃物が希釈または尿から排泄されたと考えられる。また、老廃物を尿として排泄するための腎臓の能力を示すeGFRは、対照群では低下したのに対し、介入群では、低下はなかった。これらの結果から、冬季になるにつれて低下するといわれる腎機能を、介入群では習慣的な水分摂取によって抑制されたと推察される。腎機能は加齢にともなって低下することも知られているが、習慣的な水分摂取が腎機能低下抑制に効果があることも期待される。

 老廃物希釈効果については、習慣的な水分摂取が腎機能の低下抑制に効果があると考えられる。一般的に、腎機能は加齢とともにその機能が低下するといわれており、老廃物を尿として排出する能力が低下してしまうとされている。若いうちから起床後と就寝前2時間以内の習慣的な水分摂取を継続することで、腎機能低下抑制の効果が期待できる。結果として老廃物を効率よく尿として排出していくことにつながり、デトックス効果が期待できるとしている。

 この研究結果を受けて、サントリーグローバルイノベーションセンター 研究部の中村友美氏は、「世間には様々な冷え対策があるが、今回の研究結果から、実は、水でも冷え対策ができることがわかった。習慣的に就寝前と起床後に水分摂取することによって、体温上昇もしくは低下抑制の効果があることが示された。冷え対策のひとつとして、朝晩の水分摂取を習慣化することも推奨している。体温上昇または低下抑制により冷え改善や免疫機能向上につながる可能性があり、体質改善も期待できる」と、習慣的に水を飲むことは冷え対策にも効果的であると説明した。

 「人の体は、寝ている間にも水分を失うため、就寝前と起床後の水分摂取は、夜間の気づきにくい脱水を防ぐ意味でも重要となる。今回の研究結果では、就寝前に水分摂取をしても夜中の排尿の回数は0.8回から1.1回の増加であり、懸念されるほど大きな増加ではないと捉えている。また、睡眠時間の変化がなかったことから、夜間のトイレによって睡眠が妨げられるほどの影響がなかったことを確認している。今後、水分摂取に関する研究が進み、年齢ごとの適した水分摂取量などについても科学的に証明されることを期待している」と、就寝前の水分摂取が睡眠に及ぼす影響は少なく、夜間脱水を防ぐためにも就寝前・起床後の水分摂取が重要であると訴えた。

 「昨今、世の中の『グローバル化』が進んでいるが、水は『ローカル』のものを飲むのが自然の理にかなっていると考えている。かつおなど、和風のだしを取るには軟水が適しており、一方、洋風スープのもとになるスープストックは硬水が適しているとされている。長年の食文化の違いなどから、欧米人は硬水、日本人は軟水でそれぞれの身体が作られてきたといえる。『ローカル』の水を飲み続けてきたことによる体への影響については、明らかになっていないが、それぞれに適した水の飲み方があるのではと考えられる。今後も水分摂取に関する研究を深めていき、将来的には日本人に合った飲み方を明らかにしていきたい」と、日本人に適した水分摂取について、さらなる研究を進めていく考えを示した。

サントリーグローバルイノベーションセンター=https://www.suntory.co.jp/sic/


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