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森林サービス産業プロモーション共同企業体、新しい日常における森林活用の意向調査、4人に1人が農山村移住の意向あり、テレワークを活用した就業希望者は7割超に

2020.09.11 14:00 更新

 林野庁“令和元年度「森林サービス産業」緊急対策事業”を受託する森林サービス産業プロモーション共同企業体は、20代から50代の男女3200名に対し、「新しい日常における森林活用の意向調査」を実施した。今回の調査は、国土の約7割を占める広大な森林空間と農山村の活用に関する意向を調査することを目的としており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大にともない新しい日常の浸透が進む社会で、森林に対してどのような意向を持っているのかを明らかにした。その結果、農山村移住の意向は24.4%で、約4人に1人であった。また、移住希望者による「テレワーク可能時での移住意向」は7割を超えていることがわかった。

 まず、農山村への移住・定住意向率について調査すると、“意向率”は24.4%となり、約4人に1人が農山村への移住の意向を持っていることが確認できた。

 移住希望者に意向理由を聞いたところ、「自然にあふれた魅力的な環境だから」(65.0%)が突出して高く、農山村特有の自然に価値を持っている人が多いことがわかった。次いで「都会に疲れた」(34.6%)といった回答も一定数いることが明らかとなった。また、「コロナウイルスの影響を避けるため」と15.7%が回答しており、移住・定住意向に関してもコロナウイルス感染拡大の影響を受けていることがわかった。また、農山漁村への移住の理由を年代や男女差別で読み解くと、年代や男女差によって特徴が見受けられた。子育て世代の20代~40代の男性の約4割(41.5%)が「都会の生活に疲れたから」と回答し、20代~40代の女性は「子育てに適しているから」と約6割(57.5%)が回答していた。男女問わず年齢が上がるにつれ、「魅力的な自然環境の存在」を理由に挙げる割合が高くなる傾向となった。

 移住時の希望業種に関しては、最も「農業」(39.7%)に回答が集まった。次いで、「第3次産業」が23.8%、「林業」が18.6%となり、「IT・情報産業関連」(16.9%)や「再生可能エネルギー産業」(16.6%)にも回答が分散された。これらのことから、移住時の希望職種は様々であることがわかった。

 移住希望者にテレワークが可能になった場合の移住意向を聞いたところ、71.9%が移住の意向を示していた。このことから、新しい日常で推奨されているテレワークという働き方が現在よりも社会に浸透していければ、移住・定住者もさらに増加していくことが推測できる。

 3密を避けた屋外活動への関心については、「とても関心がある」(17.5%)、「やや関心がある」(33.7%)と回答しており、51.3%が関心あることがわかった。また、3密を回避できそうなレジャー空間について聞いたところ、回答の上位は「山」(48.2%)、「森」(43.0%)となり、森林空間は3密を回避できるレジャー空間であると4割超の人が認識していた。

 この結果から、コロナ禍の環境を受けて屋外活動への関心が高まっており、3密を避けたレジャー空間として森林の役割が高まっていくことが期待される。

 アウトドア(野外で活動すること)について、好意的だと回答した人(51.2%)に対しアウトドアへの魅力を聞いたところ、半数以上が「清々しい空気」(67.3%)、「景色・景観」(56.2%) と回答した。また、男女別で読み解くと、女性は「日頃のストレスが解消できる」(54.6%)、「日頃と違った非日常を味わえる」(45.5%)、「広い空間で過ごすことができる」(30.9%)などが男性より8%以上も高く、女性の方が「非日常」に対する魅力をアウトドアに求めていることが明らかとなった。

 今回の調査結果を受けて、森林空間利用促進プロモーション検討委員会 座長で、東海大学観光学部観光学科教授の田中伸彦先生は、「今回、『森林サービス産業緊急対策事業』で行ったWEB調査は、日本国内の新型コロナ感染者数がいったんおさまり、再び大きく増加する直前といえる6月26日から29日にアンケートを聞くことができた。つまり、日本国民が『アフターコロナ』『ポストコロナ』の世界に向けて現実味を持って進み始めることができるかもしれないと考えていた貴重な時期にとられた調査結果であるといえる。一方で、7月後半から再び新型コロナの感染者数が増加しているため、国民の意識はさらに変動しているかもしれない」と、ポストコロナ時代における農山村の森林活用への意識を捉えることができたと分析する。

 「農山漁村で就きたい職業は、農林漁業を中心としながらも、テレワークを活用したIT産業や再生可能エネルギー産業への就業希望も多いという結果が出た。若い男性層(20代)については、まちづくりや観光、土木建設など魅力的な農山漁村を創り上げる仕事に魅力を感じていることも明らかとなった。森林管理や森林計画においては、木材資源の管理だけではなく、森林サービス産業に活かせる魅力的な景観創りやトレイル整備など森林空間資源の管理へ積極的に取り組むことで若手移住候補者層や観光来訪者への支持が集まるのではないか。その際には、もちろんSDGsなどに配慮した持続可能な森林づくりへの配慮が欠かせないと考えられる」と、農山漁村で就きたい職業から持続可能な森林づくりのヒントが得られたと述べていた。

 「観光レクリエーションで森林空間(森・山・川・集落・キャンプ場などの複合体)への来訪を希望する国民は多いことがわかった。新型コロナが終息するまでは、感染対策の徹底が必要であることは言うまでもないが、『ポストコロナ』時代を見据えて『新たな森林活用』に関するプロモーションを推進することも重要ではないか。山村がプロモーションを行う場合には、コロナ前とは違う、ポストコロナ時代での森林観光レクリエーション活動を紹介する『アクティビティベース』のインストラクション動画等の発信が重要ではないかとも推測できる。また、観光レクリエーションを受け入れる山村で実際に働いている人がどのような生活を送っているのかを紹介するような動画等の制作・発信なども効果があると考えられる」と、ポストコロナ時代には、森林レクリエーションの様々なアクティビティを山村から情報発信する必要があると提言した。

 また、一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパンの滝沢守生事務局長は、「農山村部への移住・定住の抵抗が少しずつ減っていることは、これまで行ってきた各地での地域おこし協力隊や、研修制度の充実が少しずつ花開いた結果だという印象を受けた。また、移住者がその生活の様子をSNSを通じ情報を発信することも増え、移住した後のライフスタイルもイメージしやすくなったことも影響していると考えられる。ソーシャルのつながりによって、ライフスタイルの事例ができてきたことは農山村部への移住・定住の追い風だと感じている」と、農山村部におけるライフスタイルの事例の蓄積が移住を後押ししていると考察する。「移住した後の仕事に関しても、職種は多様化してきている。テレワーク普及などの働き方改善はもちろんだが、『農業』や『林業』などの第一次産業においても、これまでとは違うビジネスチャンスは広がってきている。市場や流通が多様化したことで、生産者が直接消費者にモノを売ることができるようになった。市場・流通の多様化も、移住のハードルを下げる要因になっている。今後、新しい日常へと移り変わる中で、農山村部への移住・定住の選択をする人が増えていく可能性が高いと思う」と、市場や流通が多様化していることも移住を促進するポイントになっていると指摘した。

 「人口過密都市を中心に新型コロナウイルス感染が拡大しているだけではなく、地球温暖化や自然に対しての感度は高まっており、都市機能への不安感が今後も高まっていくことが予想される。これは、これまでの生活を見直すいいチャンスだと感じる。農山村部は、食べ物・水が近くになり、自分で自分の生活をコントロールできるので、ますます注目される暮らし方ではないかと思う。また、今後は働き方だけではなく教育の環境も多様化していくことが予想される。授業がオンライン化されていけば、都市部と同様の教育を受けることができる。自然の中で自然に負荷をかけずに生活するスタイルが今後のトレンドになる可能性は高いと考えている」と、これからは自然と共存する暮らし方がトレンドになるのではいかと語った。

 「新型コロナウイルスの感染拡大が叫ばれる中で、屋外活動への興味関心が5割にとどまっているのは自然との距離が離れてしまった結果のように感じる。都市部での生活に慣れ、自然の中で遊ぶ遊び方を知らない人たちが増えたことが要因だと推測できる。一口に屋外活動といっても、夏といえば海水浴や花火大会をイメージする人も多いように屋外活動でも“密”な状態、“密”を避けた屋外の遊び方を知らない人が多いのかもしれない。しかし、感染拡大の影響で近所の公園で遊ぶ家庭が増えたと思う。これは、いい意味で自然の中で遊ぶ世帯が増えたということ。今回のことで外に出て、自然に触れることの本質的な気持ち良さに気づいた人が増えたのは良いことだと思う。これを機に、屋外での様々な遊び方が普及してほしいと考えている。森林は“密”を避けられるし、国土の大半を占める森林での遊び方を知る人たちが今後増えれば、レジャー空間として森林の価値は今後高まっていくのではないか」と、自然の中で遊ぶことを知る人が増えることで、レジャー空間としての森林の価値はさらに上昇する可能性があるとの考えを示した。

[調査概要]
調査名:新しい日常における森林活用の意向調査
実施期間:2020年6月26日(金)~6月29日(月)
対象:20代~50代の男女 3200名
調査方法:インターネット調査

林野庁 森林サービス産業=https://www.rinya.maff.go.jp/j/sanson/kassei/sangyou.html


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