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富士経済、国内清涼飲料市場の調査、2019年は2018年比0.1%増の5兆2066億円・2020年は2019年比5.3%減の4兆9326億円の見込み

2020.09.06 13:01 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、国内清涼飲料市場について、大型連休となったゴールデンウィークや、夏場の天候不順、大容量PETの価格改定などがあった2019年の結果と、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けている2020年を見通した。その結果を「2020年 清涼飲料マーケティング要覧」にまとめた。トピックスとして、2019年の市場実績では、2018年比0.8%減の2594万kl、同0.1%増の5兆2066億円に達した。ゴールデンウィークが大型連休になったことや8月以降の猛暑がプラス要因となった。一方、2020年の市場見込は、2019年比4.2%減の2484万kl、同5.3%減の4兆9326億円と予測する。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛、感染拡大防止に配慮した経済活動が影響するものとみられる。

 2019年の市場は、2018年比0.8%減の2594万kl、同0.1%増の5兆2066億円となった。大容量PETの廉価販売是正の取り組みとして実施された価格改定や7月の冷夏がマイナス要因となったが、ゴールデンウィークが大型連休になったことや8月以降の猛暑がプラス要因となり、金額ベースではわずかに前年を上回った。

 市場が前年割れとなる品目が多い中で、好調を維持する無糖炭酸飲料やエナジードリンク、通年商材としてのポジションを確立した麦茶などが伸長した。また、タピオカブームを成長の下地にキリンビバレッジをはじめとした大手メーカーによる商品攻勢や大規模な販促活動が活発化した紅茶飲料も伸びた。

 2020年の市場は、2019年比4.2%減の2484万kl、同5.3%減の4兆9326億円が見込まれる。東京五輪特需が期待されていたが、3月以降に新型コロナウイルス感染症の感染拡大が本格化して市場に多大な影響を与えている。4月から5月は緊急事態宣言発出に伴う外出自粛の影響を受け大幅な実績減少となった。6月以降も感染拡大防止に配慮した経済活動が続いており、市場は通年で数量、金額ともに過去に例を見ない縮小が予想される。

 野菜系飲料は、トマト飲料や野菜飲料、果実野菜混合飲料を対象とする。近年市場は拡大、縮小を繰り返していたが、2016年以降は「カゴメトマトジュース」(カゴメ)が機能性表示食品としてリニューアル発売され健康飲料としての再認知が進んだほか、ローソンのPB商品のヒットでスムージーが伸長したことでプラス成長を続けた。2019年の市場は、前年までの拡大の反動に加え、健康機能が注目された他カテゴリーへの需要流出で上位メーカーの中には実績を落とすところもあり、また、スムージー需要も一巡して苦戦したことから、マイナス成長に転じた。2020年は家庭内需要のほか、新型コロナウイルス感染症の流行により健康飲料としての需要も増加しており、市場は多くのカテゴリーが前年割れする中、拡大するとみられる。

 無糖炭酸飲料の市場は、2019年に前年の反動や大容量PETの価格改定による販売量の減少などで、2020年も外出自粛がCVSや自販機の即時飲用要求を満たす販売に大きな影響を与えておりマイナス成長になるとみられる。一方、無糖炭酸飲料の市場は、2019年は前年の反動減となるブランドがあったが、好調を続ける「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)がけん引し、二桁成長を続けた。2020年は外出が控えられていることがCVSや自販機の販売に大きな影響を与えているものの、2019年比4.1%増が見込まれる。

 紅茶飲料は、缶やPET、紙容器などのリキッドタイプを対象とする。2011年以降需要は頭を打ち、市場は縮小傾向が続いた。無糖茶飲料やミネラルウォーター類などへの需要流出も市場低迷につながったが、2016年以降はプラス成長が続いた。2019年は、「クラフトボス」(サントリー食品インターナショナル)から紅茶フレーバーが発売されCVSを中心に好調だったほか、タピオカミルクティーが流行したことでミルクティーなどの需要が高まり、若年層を中心とした紅茶ブームも追い風となるなど、市場は2018年比17.3%増となった。また、上位メーカーでは新たに微糖タイプを展開する動きが活性化し、甘さ離れによるユーザーの需要流出が抑えられている。2020年は、外出自粛によりCVSや自販機において上位ブランドを中心としたパーソナル品が苦戦しており、メーカーは注力度を高めているものの、市場は2019年比9.2%減が見込まれる。

 麦茶は、従来は夏場の需要が中心であったが、近年は冬場の乾燥に対する水分補給などを目的とする需要を獲得しており、市場も拡大推移を続けている。カフェインレスなどの健康的なイメージとコストパフォーマンスに優れ、また、販路が広く、オフィス需要も大きい。2019年の市場は、前年の猛暑特需の反動や価格改定の影響を受け縮小が予想されたが、大容量品が価格改定後も他カテゴリーと比較してコストパフォーマンスが高いことで伸長したほか、夏場以外の需要も定着したことで引き続き拡大した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受け、オフィス街周辺のCVSや自販機での販売減少している。特に、パーソナル品の減少によって、市場はマイナス成長になるとみられる。

 エナジードリンク市場は「モンスターエナジー」(アサヒ飲料)と「レッドブル」(レッドブル・ジャパン)の2大ブランドがけん引し、拡大を続けている。配荷はCVSや自販機が多いが、量販店やドラッグストアなども増えており、消費者へのタッチポイントが増加している。2019年の市場は、7月の冷夏の影響を受け前年割れを喫したブランドもあったが、手売りチャネルでの配荷拡大に成功した「モンスターエナジー」が大幅に伸長したことで、拡大した。また、コカ・コーラシステムやサントリー食品インターナショナルなどによる新ブランドの発売も市場拡大を後押しした。2020年の市場は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による人の移動制限が、配荷が多いCVSや自販機での販売に影響を与えていることから、市場形成以降初のマイナス成長になるとみられる。一方、これまで市場をけん引してきた2大ブランドに、コカ・コーラシステムやサントリー食品インターナショナルなどの新ブランドが加わったことで、今後競合の激化が予想される。

 パーソナルPETは750mL 以下のPET容器入り商品とし、市場はその販売額を対象とする。茶系飲料や炭酸飲料、ミネラルウォーター類、コーヒー飲料などは、750mL以下のパーソナルPET容器をメインパッケージとして採用している。これらは止渇需要が大きいことから、その市場は夏場の動向の影響を大きく受けたが、近年はCVSを中心にホットでの展開も増加しているため冬場の需要を獲得し、安定的に拡大を続けている。また、少人数世帯の増加によって大容量PETの需要が減少する一方で、外出時やオフィス内など、自宅を除いた幅広いオケージョンでパーソナルPETの需要が増えている。そのため、メーカーとしても収益性の向上につながることからパーソナルPETへの注力度が高くなっている。2020年の市場は、新型コロナウイルス感染症の影響から外出機会が減少しており、CVSや自販機といったパーソナルPETの主要チャネルが苦戦していることからマイナス成長に転じるとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]3月~5月
[小売価格]
書籍版:15万円
PDF+データ版:16万円
書籍/PDF+データ版セット:18万円
ネットワークパッケージ版:30万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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