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富士経済、一般用医薬品(皮膚治療薬や育毛剤など)の国内市場調査、2020年市場見込では6649億円と前年比0.7%減の縮小へ

2020.07.16 10:21 更新

 富士経済は、特定の部位や使用シーンに対応した製品の展開によって需要を獲得している皮膚治療剤や、新規参入企業による様々な取り組み(若年層へのアプローチなど)によって市場が活性化している育毛剤などの一般用医薬品の国内市場を調査した。その結果を「2020 一般用医薬品データブック No.2」にまとめた。トピックスとして、2020年市場見込(2019年比)では、特定の部位や使用シーンに対応した製品の展開によって需要獲得した皮膚治療薬が209億円(3.5%増)と予測する。一方、国内一般用医薬品市場は6649億円(0.7%減)へ縮小となる見通しだ。

 この調査では、皮膚治療薬をはじめとする外皮用薬(12品目)、育毛剤を対象とする毛髪用薬(1品目)のほか、感冒関連用薬(8品目)、アレルギー用薬(3品目)、生活習慣病関連用薬(4品目)、生活改善薬(5品目)、環境衛生用薬(2品目)、眼科用薬(1品目)、8カテゴリー36品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。また、「2020 一般用医薬品データブック No.1」にまとめた9カテゴリー40品目の市場調査結果を加えて分析した、一般用医薬品の全体市場やリスク分類別市場、スイッチOTC市場の結果についても提示している。

 皮膚治療薬は、体の部位や使用シーンにかかわらず皮膚のトラブルや疾患に対応するものとして需要開拓されてきたが、近年はデリケートゾーンのかゆみに対応した「フェミニーナ」(小林製薬)や「デリケアエムズ」(池田模範堂)、頭皮湿疹に焦点を当てた「メンソレータム メディクイックH」(ロート製薬)、「ムヒHD」(池田模範堂)など特定の部位や使用シーンに対応した製品の展開によって需要を獲得しており、市場が拡大している。2019年は、セルフメディケーションにおける皮膚疾患治療に対する注目度が高まったことから、市場は拡大した。2020年は、ライオンによる既存ブランドのリブランド化、池田模範堂による新コンセプト製品の発売が市場を活性化させており、拡大が予想される。

 育毛剤市場は、2010年に「リアップ」(大正製薬)が日本皮膚科学会のガイドラインで男女ともに奨励度Aとなったことを受け、大正製薬が継続的なプロモーションや啓発活動を進め、2013年以降増加基調で推移している。2018年は、ミノキシジル配合製品が新規参入企業のアンファーやロート製薬などから発売され、これらの実績がオンされたことによって、市場は拡大した。2019年は、大正製薬に加え、新規参入企業による様々な取り組み(若年層へのアプローチなど)が市場を活性化させ、引き続き拡大した。2020年は、販売チャネルやユーザー層が広がっていることから市場は拡大するとみられる。

 総合感冒薬は、風邪の諸症状の緩和を効果・効能としており、多くの家庭に普及している。風邪が流行する秋冬を需要期としており、その年の流行度合によって市場は増減する。2015年頃から咳、のどの痛み、鼻水、熱などの症状別の製品が発売されたことにより、市場は拡大してきた。2019年は、上位企業で新製品の発売が多かったことや、症状別製品の広告宣伝活動が活発だったことから、市場は拡大した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により医療機関の受診が控えられたことから一時需要が増加したが、マスクや手洗いの励行による風邪の罹患者の減少やインバウンド需要が大幅に減少するとみられることから、市場は縮小が予想される。

 鼻炎治療剤(内服)は花粉症に対して服用されることが多いことから、市場は花粉の飛散量や飛散期間に左右される。2011年に「アレジオン10」(エスエス製薬)、2012年に「アレグラFX」(久光製薬)がスイッチOTCとして発売され、医療用医薬品での処方実績やブランド力の高さから需要を獲得し、市場は拡大してきた。2019年は、花粉飛散量が多かったことが後押しとなり市場は拡大した。2020年は、春に花粉飛散量が例年より少なかったことから市場は縮小するとみられる。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、マスクやアルコール消毒剤などの特需が発生し、その対応に追われたため十分に店頭販促が一時行えなかったことも市場縮小の要因になるとみられる。

 点鼻薬は、花粉やハウスダストなどを原因とする鼻のアレルギー症状に使用され、内服タイプの鼻炎治療剤と同様に花粉症患者の需要が中心となっている。需要は、花粉の飛散状況に左右されていたが、2015年にオキシメタゾリンのリスク区分が第1類から第2類へ引き下げられたことから、同成分を配合する製品を展開していた企業が販促を強化したことで開拓が進んだ。患部に直接作用するため効果の実感が得やすいことや、内服タイプの鼻炎治療剤やアレルギー用点眼薬との併用提案などによって市場は好調に拡大してきた。2019年は、新製品の投入やテレビCMの投下によって市場は活性化し拡大した。また、インバウンド需要も拡大に寄与した。2020年は、例年と比べると花粉の飛散量が少なかったことや新型コロナウイルス感染症の影響によってインバウンド需要が減少していることなどから市場は縮小が予想される。

 目薬は、高付加価値製品の伸びとインバウンド需要の高まりによって市場拡大してきた。2019年は、花粉飛散量が多かったことによりアレルギー用点眼薬が好調だったものの、インバウンド需要が減少したため市場は縮小した。2020年は、高付加価値製品は好調なものの、新型コロナウイルス感染症の影響によりインバウンド需要はさらに減少するとみられ、市場の縮小が予想される。

 2019年の国内一般用医薬品市場は、前年に引き続き拡大し6696億円(2018年比0.8%増)となった。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンド需要の減少などから、市場は縮小が予想される。2019年の市場を品目別にみると、ドリンク剤は、需要期の夏季に天候不順の影響を受け縮小した。ミニドリンク剤は、一般用医薬品は微減となった。ビタミン剤は、総合ビタミン剤やビタミンB2主薬製剤などが上位企業の新製品投入やプロモーションの強化によって伸びた。胃腸・消化器官用薬は、腸活ブームによる整腸薬の需要増加やエントリーユーザーの獲得が進んだ便秘薬などが伸びた。オーラルケア関連用薬は、オーラルケア意識の高まりに伴い好調だった。感冒関連用薬は、総合感冒薬が新製品の投入によって伸長したほか、高機能製品が好調を維持した解熱鎮痛剤が前年に引き続き伸長した。アレルギー用薬は、花粉飛散量の増加とスイッチOTCが好調だったため続伸した。外皮用薬は、夏場の天候不順や暖冬といったマイナス要因があったものの、新製品の投入や新たな使用シーンの提案が需要喚起につながった。育毛剤は、ミノキシジル配合製品が2018年以降相次いで発売され、市場が活性化した。目薬は、高付加価値製品が需要を獲得しているものの、インバウンド需要の減少によって縮小した。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]1月~5月
[小売価格]
書籍版:15万円
PDF+データ版:16万円
書籍/PDF+データ版セット:18万円
ネットワークパッケージ版:30万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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