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富士経済、外食産業市場の調査、2020年市場見込では28兆5965億円と2019年比16.5%減に縮小

2020.07.29 20:12 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、14カテゴリー134業態を対象とする外食産業の全体市場に加え、成長業態ランキング、時間帯や客単価、メニュー別などの横断分析、注目されるテイクアウトやデリバリーなど提供形態別市場分析、主要業態の2000年から2024年までの長期推移分析などを総合的に分析した。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2020 No.3」にまとめた。トピックスとして、2020年市場見込(2019年比)では、28兆5965億円(16.5%減)と予測する。テイクアウトやデリバリーによる需要獲得が活発化するファストフード テイクアウトでは、5853億円(4.6%増)、デリバリーでは673億円(43.8%増)と、それぞれ増加する見通しだ。

 外食産業市場の2019年は、料飲店が若者の酒離れや宴会需要の低迷などで減少したが、テイクアウトやファストフードに加え、インバウンド需要により宿泊宴会場が伸びたことから、外食産業市場は拡大した。

 2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、店舗の営業時間短縮や休業、不要不急の外出自粛要請による来店客数の減少もあり、市場は2019年比16.5%減の28兆5965億円が見込まれる。カテゴリー別では、緊急事態宣言の発出に伴う酒類提供の自粛もあり料飲店は縮小に拍車がかかり、交通機関や宿泊宴会場はインバウンド需要の大幅な減少により縮小するとみられる。また、カテゴリーを問わず、テイクアウトやデリバリーによる需要獲得が活発化している。

 テイクアウト市場は、ファストフードやファミリーレストラン、喫茶、料飲店、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理など店舗での飲食を主とする専門飲食店と宅配専門店(宅配ピザ、宅配ずし、宅配中華料理、宅配釜飯)によるテイクアウト販売を対象とし、テイクアウト専門店は含まない。

 2019年は、来店前にアプリで注文と決済を済ませ、来店してすぐ商品を受け取ることができるモバイルオーダーの導入が大手チェーンで進み、10月には消費税率が10%に引き上げられたもののテイクアウトは軽減税率が適用され、イートインと比較し割安感が強まったことで、市場は2018年比で二桁近く伸びた。2020年は多くの業態でモバイルオーダーの導入が進み、対応店舗が増加している。外出自粛要請によりテイクアウトを選択する機会が増えたことや、テイクアウト割引キャンペーンの実施、テイクアウト専用メニューの強化などにより市場は拡大するとみられる。カテゴリー別にはハンバーガーを筆頭にチキン、牛丼、回転ずしなどのファストフード、コーヒーショップの規模が大きい。

 ファストフードは、テイクアウト販売が定着していることから市場の半数以上を占める。ハンバーガーは「マクドナルド」が2019年からモバイルオーダーを開始し対応店舗を増加させており、ほかのチェーンもテイクアウトでの需要獲得に注力している。牛丼はファミリー層や女性の需要を獲得しているほか、モバイルオーダーやテイクアウト割引キャンペーン、テイクアウト専用メニューの展開が進んでいる。回転ずしはモバイルオーダーや手巻きセットなどテイクアウト専用メニューによる需要獲得が進み、大手チェーンでは店舗レジでの決済が不要の持ち帰りロッカーの導入なども行われている。

 コーヒーショップも、職場などでの“ながら飲み”、外出時の気分転換を目的とした購入も多く、ファストフードと同じくテイクアウト販売が定着していることから需要を獲得している。これまでテイクアウトでは店内で注文してから商品を受け取ることが基本となっていたが、大手外食チェーンを中心にモバイルオーダーの採用が増加している。今後テイクアウトの需要を獲得するためには、モバイルオーダーなどのテイクアウト向けサービスの導入は必須になっていくとみられる。

 デリバリー市場は、ファストフードやファミリーレストラン、喫茶、料飲店、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理など店舗での飲食を主とする専門飲食店と宅配専門店(宅配ピザ、宅配ずし、宅配中華料理、宅配釜飯)によるデリバリー販売を対象とし、テイクアウト専門店は含まない。

 デリバリーを自社で行うには、初期投資と維持費が必要となるため、小規模の飲食店では展開しにくかった。しかし、出前館やUber Eatsなどデリバリー仲介業者の代行サービス活用によって個人店でもデリバリー展開が容易となった。デリバリー仲介業者の積極的なプロモーションや対応エリアの広がりにより対応店舗が増加し、2018年以降市場は大きく拡大している。

 2020年は外出自粛要請によりデリバリーの利用が増えたことで、市場は拡大するとみられる。カテゴリー別には宅配ピザや宅配ずしなど、宅配専門店の比率が高いが、ハンバーガーをはじめとするファストフードやファミリーレストランが伸び、すし、そば・うどんなどの従来型デリバリーは苦戦している。

 ファストフードは、店舗数が多いことからイートインやテイクアウトで馴染みのあるチェーンへのトライアルが進みやすいことや、商品単価が低く配送料を含めても比較的安価に注文できることから好調である。2020年は配達員による直接の手渡しではない非接触デリバリーサービスも導入されている。

 ファミリーレストランでもデリバリー仲介業者の活用が進んでいる一方で、自社宅配限定の割引キャンペーンなども実施されている。また、一部チェーンでは店舗からのデリバリーを中止し、デリバリーとテイクアウトに特化した厨房を設置する動きもみられる。デリバリーを一括して提供することで店舗従業員の負担を軽減できるため、売上げが高いエリアを中心に専用厨房が増加する可能性がある。

 2000年からの注目業態の市場トレンドとして、回転ずしは、店舗数の増加に加え、1皿から注文が可能であることで子供からシニアまで幅広い需要を取り込んでおり、2012年には5000億円を突破した。ラーメンやスイーツ、コーヒーなどサイドメニューを充実させることで、ファミリーレストランやカフェの代わりとしての需要を獲得していることから市場は拡大を続けており、2024年には7000億円近くまで拡大するとみられる。

 居酒屋・炉端焼は、若者の酒離れや宴会需要の低迷、西洋料理や東南アジア料理といった専門店、ファミリーレストラン、ファストフードなど様々な業態との競合激化などにより市場縮小が続いている。2013年には2兆円を下回り、2019年には1.6兆円まで縮小した。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で大きく縮小し、2000年比52.1%減が見込まれる。2021年以降は一定規模の需要は戻るものの、1.3兆円程度の推移が続くとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]4月~6月
[小売価格]
書籍版:11万円
PDF+データ版:12万円
書籍/PDF+データ版セット:14万円
ネットワークパッケージ版:22万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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