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富士経済、国内化粧品の販売チャネルの市場調査、2020年の市場見込ではドラッグストアが2019年比3.7%減の1兆5776億円に

2020.07.21 20:47 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、ドラッグストアや百貨店などに加え、通信販売直営店やライフスタイル提案型直営店など多様化が進む国内化粧品の販売チャネルの市場を調査し、その結果を「化粧品業態別販売動向とインバウンド実態調査 2020」にまとめた。その結果、2020年市場見込(2019年比)では、衛生関連商品目的の来店客数は増えるも、化粧品需要の増加にはつながらず、縮小したドラッグストアが1兆5776億円(3.7%減)と予測する。店舗販売の需要が通信販売へシフトすることで伸長するメーカーもみられ、市場拡大した公式通信販売が3845億円(1.0%増)を見込む。

 この調査では、国内の化粧品の店舗販売13チャネル、無店舗販売3チャネルの計16チャネルの市場動向を調査・分析するとともに、各販売チャネルのインバウンド動向も捉えた。

 販売形態別化粧品国内市場(小売ベース)では、店舗販売の市場規模が大きく、2019年は全体の79.9%を占める。2014年に化粧品が消費税免税対象となって以降、百貨店やドラッグストア、ディスカウントストア、家電量販店、空港型免税店といった訪日外国人観光客が立ち寄るチャネルの好調により伸長してきた。無店舗販売は、構成比の大きい訪問販売が苦戦しているものの、公式通信販売や通信販売卸の好調により2016年以降、伸びてきた。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、店舗販売、無店舗販売ともに市場縮小が予想される。

 主要6チャネルの化粧品国内市場(小売ベース)では、2019年の化粧品市場は、ドラッグストア、百貨店、訪問販売、公式通信販売、化粧品店、薬局・薬店、量販店の6チャネルが全体の8割以上を占め、ドラッグストアの市場が大きい。近年は訪問販売や化粧品店、薬局・薬店、量販店が低調な一方、インバウンド需要により百貨店が伸長してきた。そのほか、通信販売直営店やメイクアップ商品の拡充で若年層の来店が増えているバラエティショップ、旗艦店や体験型店舗の出店が続くライフスタイル提案型直営店、百貨店ブランド直営店、Amazon.co.jpなどの通信販売卸が伸びており、化粧品販売チャネルの多様化が進んでいる。

 2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、臨時休業する百貨店やショッピングモールなどの大型商業施設がみられ、対面販売を行う訪問販売などでは営業の自粛が行われたことから、これらのチャネルの構成比は低下する。一方、ドラッグストアや公式通信販売、通信販売卸の構成比が高まるとみられる。

 ドラッグストアは2014年に化粧品が免税対象となって以降、訪日外国人観光客やソーシャルバイヤー(代理購入者)の需要が急速に高まり市場は拡大してきた。2019年はインバウンド需要の中心である中国で消費者の保護と転売対策を目的とした新EC法が施行されたことで、ソーシャルバイヤーの大量購入に落ち着きがみられたが、各社の積極的な店舗施策などによって引き続き市場は拡大した。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、マスクを始めとした衛生関連商品の需要が急激に増加したことで来店客数が増えたものの化粧品需要には繋がらず、市場は縮小するとみられる。

 百貨店は各チャネルが苦戦する中、化粧品が免税対象となった2014年以降、国内メーカーの高価格帯ブランドを中心にインバウンド需要を取り込み好調に推移している。また、国内需要ではインスタグラムなどのSNSへ化粧品の画像を投稿する動きが加速し、“SNS映え”するアイテムへの関心が高まったことで、これまで百貨店での購入が比較的少なかった若年層を取り込み市場拡大してきた。2019年は、化粧品フロアに重点を置き改装を進める店舗が多くみられたものの、消費税増税の影響や中国で施行された新EC法によりソーシャルバイヤーの購入が減少したことに加え、観光客の購買行動が体験を重視した“コト消費”へとシフトしたことからインバウンド需要が縮小し、大幅に伸びが鈍化した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響によりカウンターでのタッチアップを自粛するブランドが多く、また、都市部を中心に臨時休業する店舗があるなど市場は大幅な縮小が予想される。

 訪問販売は低調に推移していたものの、2016年に発売されたポーラの「リンクルショット メディカル セラム」が美容意識の高い若年層の需要を取り込み、2017年に市場は拡大した。また、既存顧客には新商品に加え、高価格帯ブランドへの移行を提案することで購入単価が上昇しており、特に百貨店の撤退が相次ぐ地方では高価格帯化粧品の販売チャネルの一つとなっている。2019年は若年層の取り込みは進んだものの、中間価格帯商品の不振に加え、離脱する既存顧客の需要を購入単価が低いエントリーユーザーでカバーするには至らなかったため、市場は縮小した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響によりエステサロンが休業要請の対象となったため、市場は大幅な縮小が予想される。

 公式通信販売はメーカーやブランドが直接販売する形態を対象とする。店舗販売品を展開する制度品系や外資系メーカーがECサイトでの販売に注力しているため、2012年以降、市場拡大が続いている。また、通信販売は化粧品メーカーにとって参入しやすいチャネルであるため、多くのメーカーやブランドが新たに参入していることも市場拡大の要因となっている。2019年は、これまで公式通信販売市場をけん引してきた上位メーカーが苦戦したものの、プレミアアンチエイジングといった新興メーカーや資生堂など通販が主体ではないメーカーの伸長により市場は拡大した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により店舗販売での需要が通信販売へシフトすることにより伸長するメーカーもみられ、2019年比1.0%増が見込まれる。

 化粧品店、薬局・薬店は通販ブランドの台頭や、ドラッグストアや量販店でのカウンセリング商品の取り扱い増加により他チャネルへ需要がシフトしており、店舗数も減少していることから市場は低調に推移している。しかし、各メーカーの新チャネル開発が活発化していることや、「@コスメストア」などによる展開が若年層を含めた新規需要を取り込んでいることから、2016年に市場は拡大に転じた。2019年は、インバウンド需要が落ち着いたことや消費税増税の影響によって、再び市場は縮小した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響による全国的な小売店の営業時間の短縮や消費者の外出自粛から2019年比8.0%減が見込まれる。

 量販店はGMSの来店客数が減少しているほか、PB商品の増加による単価の下落や価格優位性が高いドラッグストアとの競合などから、2014年以降縮小が続いている。2019年は、夏季の天候不順により季節商材が不調だったものの、消費税増税による駆け込み需要により好調だった店舗もみられたため、市場は微減にとどまった。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業はあまりみられないものの、化粧品の需要低下により2019年比4.2%減が見込まれる。

 コスメセレクトショップは新規出店が続いていることや、近年は外資系プレステージブランドの需要が若年層を中心に急速に高まったことから市場が拡大している。2019年は、新規出店や改装の際に若年層の関心が高いメイクアップブランドを導入するケースがみられ、ブランドを横断してトレンドのメイクアップをタッチアップするストアイベントの開催などによって集客に努めたほか、手軽にメイクアップを体験できるデジタルツールを取り入れるなどの施策が奏功し、2018年比10.6%増となった。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響から都市部の店舗を中心に臨時休業や営業時間の短縮を行っているショップもあるものの、化粧品以外の美容家電や美容サービスの強化を進める店舗もみられ、スキンケアからメイクアップまでトータルでのカウンセリング強化によってリピーターの獲得が図られている。

 バラエティショップは通販で人気のブランドや海外ブランド、ユニークなメイクアップ商品を取り揃えており、新規性の高い商品などの投入や新商品の先行発売により20~30代の需要を取り込み、市場拡大してきた。2019年は、メイクアップ商品を中心に新色やバラエティショップ限定のコラボ商品の発売により若年層の需要を取り込み、2018年比6.2%増となった。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により臨時休業する店舗がみられ市場縮小が予想されるものの、若年層のビューティトレンドの発信チャネルとして消費者だけでなく、ドラッグストアやディスカウントストアなど他チャネルからの注目度も高まっている。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2020年1月~5月
[小売価格]
書籍版:15万円
PDF+データ版:16万円
書籍/PDF+データ版セット:18万円
ネットワークパッケージ版:30万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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