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富士経済、国内パン市場のチャネル別需要分析調査、2020年予測では小売りベースで国内パン市場が2兆8049億円・そのうち食パン専門店市場が255億円に

2020.01.28 21:04 更新

 富士経済は、付加価値商品の増加や健康志向品の定着によって拡大を続ける国内のパン市場をチャネル別、品目別に調査し、その結果を「パン市場のチャネル別需要分析調査 2019」にまとめた。その結果、2020年予測(2018年比)では、国内パン市場(小売りベース)は2兆8049億円(2.1%増)の見通しだ。流通チャネルでは量販店のバラエティ食パンなどが好調で、外食はドーナツショップ以外が拡大するとみられる。食パン専門店市場(小売りベース)は255億円(80.9%増)と予測する。各社の積極的なFC出店やチェーン展開および個人経営店の新規出店増加によって拡大するとみられる。

 この調査では、国内パン市場をチャネル別では流通(量販店、CVS、ドラッグストア、その他)、ベーカリーショップ、外食、品目別では食パン、テーブルパン、惣菜パン、菓子パン、チルドパンに区分し、総合的に調査・分析した。また、ホールセール市場や、冷凍パン市場、注目市場を捉えた。

 国内パン市場(小売りベース)は、2019年見込が2兆7804億円(2018年比:101.2%)、2020年予測が2兆8049億円(2018年比:102.1%)と見込まれる。2018年は麦や油脂などの原料価格、物流コストが上昇し、製パン各社が価格改定を行った。その影響から特売頻度が低下するなど販売において苦戦を強いられたものの、参入企業における近年の付加価値商品による拡大施策やブランド育成が着実に市場に浸透しており、嗜好性の強い菓子パンを除いて価格改定の影響は限定的となった。2019年は食パン専門店が好調なほか、外食でもドーナツショップを除く業態で拡大が見込まれる。また、流通パンでは量販店においてバラエティ食パンが伸びており、CVSでは付加価値の高いサンドイッチの好調やセブンイレブンの「セブンプレミアムゴールド 金の食パン」のリニューアルなどにより、市場は微増が見込まれる。

 食パンは食パン専門店の登場により従来パンにはなかった贈答需要を獲得し、市場が活性化している。また、デニッシュ食パンやノンホワイトのバラエティ食パンが本格志向、健康志向の消費者の需要を取り込み伸長している。量販店など流通パンにおける需要が高かったが、2018年以降は食パン専門店の流行を受け、生食パンなど製法にこだわった商品の需要が増加しており、ベーカリーショップの構成比が高まっている。テーブルパンは ハード系の商品が都市部を中心に定着している。イングリッシュマフィンやフォカッチャなど本格志向商品の需要が増加しており、夕食での喫食需要を獲得するなど市場は拡大している。ベーカリーショップでも近年、ハード系のパンが好調で、スープやサラダに添えるほか、アルコールと一緒に喫食するシーンが増加し、夕食需要を獲得している。惣菜パンはCVSを中心としたチルドサンドイッチとの競合が激化しているが、量販店インストアベーカリーでは焼きたてを訴求したピザが好調なほか、外食ではマクドナルドの実績拡大により、2019年はサンドイッチ・ハンバーガーの大幅な伸長が見込まれる。菓子パンは ベーカリースイーツの需要が落ち着き、ヒットにつながる新奇性の高い新商品がないことから苦戦している。2018年の価格改定に続き、2019年は消費増税が影響し、市場は縮小が見込まれる。チルドパンはCVSでのスモークサーモンやローストビーフなどボリューム感のある具材を使用した高単価商品や野菜のバリエーションを訴求した商品の好調、ベーカリーショップでカスクルートが人気なことからチルドサンドイッチ・バーガーが伸長している。コーヒーショップではビジネス街などを中心に軽食として好まれ、需要が増加している。

 食パン専門店は、2013年に食パン専門店として2斤800~1000円で販売する「一本堂」「セントルザ・ベーカリー」「乃が美」がオープン、高級食パンがブームとなった。2018年は「乃が美」「一本堂」が全国に出店を加速させたほか、東京、名古屋、大阪、京都、神戸など大都市に食パン専門店の新規出店が相次いだ。また、自家用だけでなく手土産として贈答用の需要が増加し、市場は急激に拡大した。2019年以降も各社がFC出店やチェーン展開を積極的に行っており、個人経営店の新規出店も増加していることから市場は引き続き拡大が見込まれる。

 業務用焼成済・半焼成済冷凍パンは、完全焼成後に冷凍し、自然解凍のみで提供可能、または軽いリヒートで提供可能な焼成済冷凍パンと、7~9割程度焼成したブラウンサーブおよび半焼成済冷凍パンを対象とする。業務用の焼成済冷凍パンは輸入品が主体であったが、「スターバックスコーヒー」が国産品を使用し、メニュー強化を打ち出したことで参入企業が増加した。特に主力の外食業態において日配パンから冷凍パンへの切り替えが進み、伸長してきた。従来はメニューの拡充をメリットに採用が増加してきたが、近年は人手不足問題や働き方改革といった労働環境是正の流れが強まったことを受けて、店舗オペレーションの改善策として注目を集めており、ベーカリーショップや、ホテルを中心に需要が高まっている。今後も市場は拡大が予想される。

 ウエルネスパンは、食物繊維やビタミン、ミネラルをより多く摂取できる全粒粉、ライ麦、ブラン・小麦ふすま、米粉・玄米・雑穀のほか、発芽玄米、コーンなどをパン生地原料として使用したノンホワイトブレッドなどを対象とする。2012年にローソンが投入したPB「ブランパン」のヒットにより、ノンホワイトブレッドは食物繊維が豊富で健康に良いというイメージが定着し、2016年にファミリーマートがライザップとコラボした「RIZAPブランロール」が低糖質を訴求したことで需要層が広がった。2018年はライ麦や全粒粉を原料とした商品の好調によって市場は拡大した。2019年は全粒粉はやや落ち着くものの、ライ麦は引き続き伸長が、また、オーツ麦など新たな原料訴求商品も発売されており、市場は拡大が見込まれる。今後も市場は微増するとみられる。

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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