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矢野経済研究所、健康食品市場に関する調査、2018年度は出荷金額ベースで8614億3000万円・2019年度は8675億円を見込む

2020.01.30 19:10 更新

 矢野経済研究所は、国内の健康食品市場を調査し、各セグメント別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。その結果、機能性表示食品の受理件数が2600件を突破、サプリメント形状が市場を牽引し、拡大傾向あることが分かった。

 2018年度の健康食品市場規模はメーカー出荷金額ベースで、8614億3000万円(前年度比1.9%増)、2019年度は8675億円(同0.7%増)を見込む。

 2018年度はインバウンド(訪日外国人客)需要が市場の拡大に寄与したほか、国内需要は、近年の市場成長を支えてきた通信販売チャネルにおいて、中堅の通販専門企業に苦戦が見られる一方、ECベンチャー企業など、デジタルマーケティング戦略に奏功した企業などが売上を伸ばし、全体としては引き続き成長した。

 また、機能性表示食品における機能表示を前面に押し出したコミュニケーション活動によって売上を伸ばす企業が見られ、通信販売のほか、機能性表示食品を軸に視認性の高い売場作りを行ったドラッグストアが好調に推移し、薬系チャネル(主にドラッグストア、薬局・薬店への卸ルート)が拡大した。さらに、若年層から高齢層まで、トレーニングや運動を日常生活に取り入れる動きが活発化し、スポーツサプリメントの販売を強化するフィットネスジム、健康体操教室などの流通チャネルも拡大した。

 2018年度の機能性表示食品の市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2240億5000万円(前年度比25.3%増)と、2000億円の大台を突破した。2019年度は2382億円(同6.3%増)を見込む。特にサプリメント分野での伸びが大きく、生活習慣病予防関連において大型ヒット商品が見られるほか、睡眠などの特定保健用食品では見られない機能などにおいて積極的な商品投入が見られ、市場規模の拡大に繋がっている。サプリメントメーカーの主要商品を機能性表示食品としてリニューアル発売する動きも活発であり、売上の大きな商品の機能性表示食品化も市場規模の押し上げ要因となっている。

 健康食品市場における注目素材としては、プロテインは2018年度市場規模が643億円(メーカー出荷金額ベース)で前年度比5.2%増と見込まれる。主力ユーザーであるスポーツ選手、部活動を行う学生に加え、身体づくりに積極的な若年層や中年層、また、健康や筋力の維持を目的に体操教室に通う高齢女性などを中心に広がっているのがプロテインである。食事では不足しがちなたんぱく質を補給することの必要性に対する認知が広がり、生活者のライフスタイルや摂取機会に合わせたプロテイン商品の提案が進んでいる。

 コラーゲンは2018年度市場規模が504億7000万円(メーカー出荷金額ベース)で前年度比1.0%増と見込まれる。美容・アンチエイジング素材として認知の高いコラーゲンであり、女性を中心に飲用されているが、近年、コラーゲンの経口摂取と体内での作用に関する科学的解明が進展する中で、健康と美容・アンチエイジングの双方の観点からコラーゲンを摂取する中高年女性が増加し、市場規模の拡大に繋がっている。

 マルチビタミンは2018年度市場規模が492億7000万円(メーカー出荷金額ベース)で前年度比1.1%増と見込まれる。特に若年層における健康・美容意識が向上する中で、食事では不足する栄養素を補給する動きとしてマルチビタミンサプリメントが好調に推移している。

 DHA・EPAは2018年度市場規模が291億円(メーカー出荷金額ベース)で前年度比2.1%増と見込まれる。必須脂肪酸摂取の必要性が広く認知され、生活習慣病予防や認知症予防などの目的飲用のほか、健康維持のための飲用など広く中高年齢層に支持され、市場規模が拡大している。

 乳酸菌は2018年度市場規模が261億円(メーカー出荷金額ベース)で前年度比12.0%増と見込まれる。腸内環境と健康への関係性に関する研究の進展や当該成果の発表・告知等により、乳酸菌を補給する手段のひとつとして健康食品の需要が高まっている。整腸のほか、免疫賦活による健康効果が期待されるサプリメントなどが売上を伸ばし、市場を牽引している。

 健康食品市場は今後も緩やかな成長基調が続くとみる。健康食品の主力ユーザー層である高齢者における健康長寿に対する関心の高まりや、定年延長など、健康を維持し、動ける身体づくりへの対策や、アンチエイジング意識の高まりは今後も継続するものと考える。また、中年層における生活習慣病や加齢に伴う身体変化への対策、若年層における身体づくりや健康・美容への配慮といった意識が今後も高まることが予想される。

 特に機能性表示食品における機能の拡大により、身体状況に合わせた選択がより可能になり、自身の健康維持の一つの選択肢としての認知が進むことが期待される。機能性表示食品では、サプリメント分野の拡大が期待される一方、一般食品分野に関しては、市場規模の拡大が続いていたが、商品改廃が激しいほか、乳製品の大型ブランドにおいて、機能性表示食品ではなく、特定保健用食品(トクホ)や一般食品分野への移行などが見られることから、2019年度は一時的に市場規模が縮小に転じると見込む。ただし、様々な食品種類において機能性表示食品の展開が進んでおり、大手の食品メーカーも機能性表示食品の展開に積極的なことから、今後も積極的な商品投入が進むものとみる。今後は激しい商品改廃の中で、機能性表示食品市場全体としては緩やかな拡大基調が続くと予測する。

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/


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