データ・リポート

富士経済、介護・福祉関連製品・サービスの国内市場調査、2025年市場予測では介護業務効率化支援システムが22億円に

2019.09.20 11:32 更新

 富士経済は、アクティブシニアや要支援・要介護者まで、高齢者の生活の質向上や、家族をはじめとする介護者や病院・高齢者施設での介護業務の負担軽減などを目的に展開される介護・福祉関連製品・サービスの国内市場を調査した。その結果を「Welfare関連市場の現状と将来展望 2019」にまとめた。トピックスとして、2025年市場予測(2018年比)では、訪問介護事業者による導入が進み拡大し、介護業務効率化支援システムが22億円(2.2倍)に達する見通しだ。また、病院・高齢者施設のみならず在宅介護時でもケアの重要性が認識され拡大が見込まれるオーラルフレイル対策関連製品が63億円(50.0%増)に達すると予測する。

 この調査では、介護保険対象製品、介護・福祉関連生活必需品、介護・福祉関連生活向上機器・装置、介護負担軽減型機器・システム、介護製品流通業界(卸、貸与・販売事業者)、介護・福祉関連サービスの計65品目の市場動向を明らかにした。

 介護業務効率化支援システムは、スマートフォンやタブレット端末を使用し、介護記録の入力作業を効率化するシステムを対象とする。従来は手書きでメモしたものを後で記録する流れであったが、その場で入力することで大幅な時間削減が期待できるほか、情報をすぐに共有できるといったメリットがある。

 介護業界では人材不足解消が喫緊の課題になっており、IT技術を活用して介護士の業務効率向上を目指す事業者が増えている。また、介護現場の労働環境改善を目的に特定処遇改善加算が設立されたことや経済産業省のIT導入補助金が活用できることから、今後急速な市場拡大が予想される。現状、訪問介護事業者の導入率が低いが、今後在宅介護が進展していく中で、これらの事業者の導入も増えるとみられる。

 一方で、職員のITリテラシーには差があり、デバイスに慣れなかった職員が退職したといったケースもみられたことから、スタンプを押すだけで介護記録を残せるなどの簡易的な機能への改良が進められている。

 介護用消臭剤は、介護用と謳った消臭剤を対象とする。介護用消臭剤はポータブルトイレ用と居住空間やベッドなどの消臭を目的とした室内用・布用に分けられる。これまでは単価の高いポータブルトイレ用が市場の中心であった。室内用・布用は2014年に花王が参入したことで本格的に市場が形成され、2016年以降大手トイレタリーメーカーの参入が相次ぎ、大幅に拡大している。在宅介護の推進により要介護度の高い高齢者の在宅居住率が増加するとみられることや、介護者(家族、訪問介護士など)が快適な環境下でケアできる住環境の実現が望まれることから市場拡大が期待される。

 サービス提供事業者はNPO、協同組合、社会福祉法人、地方自治体など多岐にわたるが、ここでは民間企業が行う加齢や認知症などにより日々の行動が制約される高齢者に向けた生活支援、家事代行サービスを対象とする。介護保険では、直接本人の援助に該当しない行為や、日常生活の援助に該当しない行為は認められないなど、受けられるサービスに制限があるため、介護保険外の高齢者向けサービスに注目が集まっている。特に外出時の付き添いなどのメニューが人気で、核家族化が進行している都市部では需要が高いことから、今後も市場は拡大が予想
される。参入企業は訪問介護事業者や家事代行事業者が主である。訪問介護事業者は自社の介護保険サービスと組み合わせた提案をしているケースが多く、新規参入も活発化している。一方、家事代行事業者は高齢者向けサービスの市場規模が小さいこともあり、現状各社の注力度は高くない。

 フレイル関連市場のフレイルとは、加齢と共に運動機能や認知機能などの心身機能が低下し、要介護状態への進展が懸念される状態である。栄養・運動・社会参加の3つの改善で予防可能とされており、対策の重要性が広まりつつある。

 オーラルフレイル対策関連製品は、介護用口腔ウェットティシュ、介護用口腔スポンジブラシ、口腔保湿剤を対象とする。要支援・要介護への移行阻止を目的に、病院・高齢者施設では口腔ケア(オーラルフレイル対策)が重要視されつつある。また、病院や高齢者施設でケアを受けた要支援・要介護者が在宅介護時でのケアの必要性を認識するようになっていることや、家族など介護者にも誤嚥性肺炎のリスクなどが周知されてきたことから、市場は拡大して
いる。介護用口腔ウェットティシュと介護用口腔スポンジブラシは競合している。スポンジブラシが病院・高齢者施設では既に口腔ケアの必需品となっており安定した需要がみられ、一般消費者向けではドラッグストアへの配荷も増52億円えていることから堅調な伸びが予想される。一方うがいなどができない人に対してはウェットティシュの方が適切なケアが可能なことから使用方法の周知とすみ分けを図っていくことが重要になるとみられる。

 フレイル予防・フレイル評価システムは、特定の項目を入力することでフレイルの進行度を予知・測定でき、フレイルを予防するためのプログラムの提案などを行う製品・システムを対象とする。実証段階にあるシステムが多く、市場の本格的な立ち上がりはこれからである。実用化が進むのは、地域包括ケアシステムが構築される2025年頃とみられる。メインターゲットとしては介護予防としてフレイル対策を実施している自治体が挙げられる。フレイル対策の重
要性は浸透しつつあるものの、実際にフレイル評価やフレイル予防のために具体的に何を行えばよいが分からない自治体も多く、専門知識がなくともフレイル対策ができるこのシステムへのニーズは高いとみられる。

 介護・福祉関連生活向上機器・装置が福祉車両の縮小により微減するが、高齢者人口の増加により、介護・福祉関連サービスを中心に今後も大幅な市場拡大が予想される。介護・福祉関連生活必需品では、規模の大きい大人用紙おむつが堅調、オーラルフレイル対策製品も伸びている。また、高齢者や介護者などの住環境の向上や生活の質の向上に貢献するとして、介護用消臭剤や高齢者向け衣類など介護専用製品の需要が顕在化してきており、好調な伸びが予想される。介護負担軽軽減型機器・システムでは、市場が立ち上がったばかりの機器・システムも多いが、高齢者の生活をサポートするため、もしくは介護者の労働負担を軽減するためのロボットやシステムなどが、政府の補助金の後押しもあり浸透していくとみられ、拡大が予想される。

 介護・福祉関連サービスは、規模の大きい有料老人ホームや高齢者施設向け給食サービス、サービス付き高齢者住宅、リハビリテーション特化型デイサービスなどが堅調に拡大するほか、高齢者の急変予知や認知症高齢者の見守りを目的としたサービス、介護保険外の生活支援サービスの伸びが予想される。

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


このページの先頭へ