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富士経済、天然由来の機能性素材の市場調査と消費者アンケート調査結果、2025年国内市場予測では天然由来の機能性素材が2750億円に

2019.01.09 16:40 更新

 富士経済は、様々な角度から健康維持・増進機能を訴求した商品開発が進むサプリメントや健康食品、化粧品、一般用医薬品、医療用医薬品などの原料として使用される、天然由来の機能性素材の国内市場を調査した。その結果を「生物由来有用成分・素材市場徹底調査 2019年」にまとめた。トピックスとして、2025年国内市場予測(2017年比)では、スポーツ関連、脳機能改善、ストレス対応、抗疲労などを訴求した素材の市場が活性化し、天然由来の機能性素材が2750億円(27.1%増)に達する見通しだ。また、消費者における美容・健康機能に関する悩み・トラブルランキングでは、「肌(シミ、シワ、乾燥、老化、ニキビなど)」、「運動不足」が男女ともに上位になった。

 この調査では、注目の天然由来の機能性素材について、動物系14品目、植物系28品目、合成系8品目の国内市場の現状を分析し、将来を予想した。また、消費者における健康・美容に関する悩み・トラブルや、成分・素材の認知度や効果の体感性などについて消費者アンケート調査を実施した。

 天然由来の機能性素材50品目を対象とした全体市場は拡大を続けており、2018年は前年比4.0%増の2,249億円が見込まれる。動物系が同4.4%増の1,193億円、植物系が同4.4%増の883億円と堅調に伸びる見込みである。機能性表示食品やインバウンド需要などの外的要素に加えて、素材の開発や研究に注力するサプライヤーの増加により、今後も拡大が予想され、2025年には2017年比27.1%増の2750億円が予測される。

 動物系素材市場では、乳酸菌・ビフィズス菌、プロテオグリカン、乳タンパクが注目される。乳酸菌・ビフィズス菌は、ヨーグルト市場が低迷する中、一般加工食品での採用ニーズが拡大し、さらに機能性表示食品での届出受理件数も増加傾向であり市場成長が続いている。プロテオグリカンは、コラーゲンやコンドロイチンなどと比べると市場は小規模であるが、美容関連素材としての引き合いが増加し、関節対応素材としての需要も増加している。

 乳タンバクは、プロテインとして飲用するユーザーが顕著に増加しており伸びている。2020年東京五輪を控えスポーツ人口の増加が予想されるため、今後も堅調な伸びが期待される。

 植物系素材市場では、食物繊維、大麦若葉、レシチン、ルテインなどが市場をけん引している。食物繊維は加工食品の物性改善での使用に加えて、糖の吸収抑制、整腸作用を訴求した食品が機能性表示食品として数多く届出受理されたことで伸びている。大麦若葉は青汁の売れ行きが好調なことにより需要が増えている。レシチンは健康食品、化粧品、医薬品など幅広く使用されており、安定した需要がある。

 また、市場規模は小さいものの、ホスファチジルセリン、ノコギリヤシ、大豆タンパクなどは今後の伸びが期待される。ホスファチジルセリンは、認知力や記憶力など脳機能改善を訴求したブレインフーズの一つとして注目されている。2017年以降、ホスファチジルセリンを使用する食品が機能性表示食品として届出受理されており、今後大きく伸びるとみられる。ノコギリヤシは、排尿障害や頻尿、尿漏れの改善効果への体感性の高さなど泌尿器系の機能向上を訴求した素材として消費者から評価され、リピーターが増加しており、今後も伸びが期待される。

 大豆タンパクは、減量をしつつ筋肉増加が期待できるなどの特性が理解され、日常的に運動をする人やライトアスリートなどの増加により市場は拡大している。

 合成系素材市場は、アミノ酸関連素材が中心となり市場をけん引している。BCAA、L-アルギニン、L-カルニチン、HMB、クレアチンなどはスポーツ分野での訴求が中心となる。また、コエンザイムQ10では抗疲労、L-テアニンでは睡眠関連などの機能訴求がみられる。

 訴求別にみると、スポーツ関連、脳機能改善、ストレス対応、抗疲労などを訴求した素材の市場が活性化している。スポーツ関連は、東京五輪を目前に控え、パフォーマンス性の向上や筋力向上などを目的に乳タンパクやL-アルギニンなどの市場成長が期待される。脳機能改善は、高齢化が進む中、認知症予防に対する需要が高まっており、DHA/EPA、イチョウ葉、プラズマローゲンなどの市場拡大が続いており、さらに配合食品が機能性表示食品として届出受理されているホスファチジルセリンが、今後大きく伸長するとみられる。睡眠質向上・ストレスケアでは、L-テアニン、GABAなどが好調である。

 ホスファチジルセリン(PS)はリン脂質の一種で、主な訴求機能として認知力改善作用や記憶力の改善作用、集中力向上作用、AD/HD(注意欠陥多動性障害)の改善作用、抗ストレス作用などが認知されている。2012年にイチョウ葉やDHA/EPAに並ぶブレインフーズとしてテレビ番組で紹介され、参入各社が積極的にPR活動を行ったことにより認知度が向上した。2017年以降、PSを主要素材とした食品が機能性表示食品として届出受理されていることで、脳機能関連素材として応用製品化も活発化し市場拡大が予想される。

 素材自体の安定性がよくないため、飲料や熱加工する食品では採用が進んでおらず、サプリメントを中心に採用されている。脳機能関連素材はDHA/EPAやイチョウ葉、プラズマローゲンなど認知度の高い競合素材が多いため、今後さらなる啓発活動が必要となるが、堅調な需要に支えられ2025年の市場は2017年比5.3倍の38.5億円が予測される。

 消費者における美容・健康機能に関する悩み・トラブルランキング(男女各5000人対象。マルチアンサー)では、総合回答率が最も高かったのは「肌(シミ、シワ、乾燥、老化、ニキビなど)」、次いで「運動不足」「肉体疲労(肩こり、首凝り、眼精疲労など)」「目(疲れ目、ドライアイ、ピント調節など)」となった。これら4項目は過半数を超える回答率となった。

 男性と女性を比較すると、男性よりも女性の方が各項目とも高い回答率となった。男性では、回答率が最も高いのは「運動不足」であるが、回答率は50%を下回っている。続いて「肌」「歯・口内(口臭・虫歯・歯周病)」「目」「肉体疲労」となった。女性では、「肌」が86%と高い回答率となった。続く「肉体疲労」「運動不足」「髪の美容」「目」「歯・口内」の5項目は回答率が50%を超えている。

 男性と女性で回答率に差がある項目として、「肌」(男性44%:女性86%)「髪の美容」(男性19%:女性60%)「冷え症」(男性13%:女性47%)が挙げられる。一方、「歯・口内」(男性43%:女性54%)「睡眠(睡眠の質、不眠)」(男性38%:女性49%)「花粉症、鼻炎、等」(男性38%:女性44%)「肥満、メタボ」(男性38%:女性39%)などは、男性と女性共に高い回答率となった。

富士経済=http://www.fuji-keizai.co.jp/


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