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矢野経済研究所、嚥下食・咀嚼困難者食・介護予防食の市場を調査、2017年度の国内市場規模は前年度比7.3%増の668億円の見込

2018.06.12 17:45 更新

 矢野経済研究所は、高齢化社会を背景に市場拡大する嚥下食、咀嚼困難者食、介護予防食の市場を調査し、セグメント別の動向、市場の将来展望を明らかにした。その結果、2017年度の国内市場規模は前年度比7.3%増の668億円の見込みであることが明らかとなった。

 同調査における嚥下食とは、嚥下困難者のために飲み込みやすいよう工夫した製品で、嚥下性を高め食べる楽しみを与えようとする加工食品である。とろみ調整食品、ゲル化剤、デザートベース食品、水分補給ゼリーがある。また、咀嚼困難者食とは、歯が悪く食品を噛む事が難しい方などを対象にした加工食品で、やわらか食、ブレンダー食、その他がある。

 介護予防食とは、高齢化に伴い顕在化、重度化する低栄養(PEM)、虚弱(フレイル)、筋肉量減少による運動器不全(ロコモティブシンドローム、サルコペニア)などの疾患を未然に予防し進行を遅らせ、介護状態に陥らないようにするための経口で摂取する加工食品の総称で、タンパク強化食品、ビタミン等強化食品、カロリー制限食品等がある。

 いずれも加工食品を対象としており、高齢者施設や病院で入所・入院者に提供される給食、在宅配食サービスで提供される弁当などの調理品は含まない。

 食べる機能の障害すなわち摂食・嚥下障害に関わりの深い嚥下食、咀嚼困難者食及び健康寿命に拘わりの深い介護予防食の2016年度の国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比6.4%増の623億3百万円であった。製品の認知度が上がってきている嚥下食、認知度の低さに苦戦する咀嚼困難者食、摂食・嚥下に問題はないが、食べる量が少なくなり必要な栄養素が不足する高齢者向けとして注目される介護予防食などそれぞれの状況は異なるものの、高齢化社会を背景として市場は拡大してきた。

 人は食物摂取によって生命活動を維持している。その食物を摂り込み、胃に送り込むための一連の流れが摂食・嚥下である。この食べる機能の障害すなわち摂食・嚥下障害は、誤嚥性肺炎や窒息の危険、脱水や低栄養の危険をもたらすばかりでなく、人間の基本的な欲望である「食べる喜び」が奪われ、その人のQOL(Quality Of Life)が著しく低下する。高齢者の摂食・嚥下機能の低下は、低栄養の重要なリスク因子であり、ADL(Activites of Daily Living:日常生活動作)や認知機能との関連が指摘されている。又、免疫機能の低下による気道感染や肺炎等の感染症発症の危険因子を伴っており、医療やリハビリテーション、介護など、高齢者の在宅・施設でのケアにおいて大きな課題となっている。

 「食べる喜び」と「栄養摂取」を両立させることが高齢者や患者のQOLの向上に大いに資するものであり、「食べる喜び」「栄養摂取」「健康寿命の延伸」がキーワードとなっている。

 嚥下食、咀嚼困難者食、介護予防食の市場は、高齢化の進展で今後も市場が拡大する見通しである。2016年度に623億300万円であった嚥下食、咀嚼困難者食、介護予防食の国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、2022年度には831億1800万円にまで拡大すると予測する。

[調査要綱]
調査期間:2月~4月
調査対象:嚥下食、咀嚼困難者食、介護予防食のメーカー
調査方法:同社専門研究員による直接面接取材および、電話等による間接調査併用

矢野経済研究所=http://www.yano.co.jp


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