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1more Baby応援団が少子化対策の鍵となる「夫婦の想い」を3935名へ調査、「日本は子どもを産みやすい国に近づいていない」は前回から2.7ポイントアップ

2018.06.08 16:36 更新

 公益財団法人1more Baby応援団は、日本から少子化問題をなくしたいという想いのもと、「夫婦の出産意識調査2018」を実施した。この「夫婦の出産意識調査」は2013年から調査を開始し、今年で6回目の実施となる。今回の調査では、既婚者約3000名に加え、これからを担う世代を把握するため、初めて20歳~49歳までの未婚の男女約1000名に対し、調査を実施している(同リリースでは、調査対象者の説明のない数字については、既婚男女2948名の結果としている)。

 1more Baby応援団では、「2人目の壁」を「生活費や教育費に関連した家計の見通しや、仕事等の環境、年齢等を考慮し、第二子以後の出産をためらうこと」と定義し、これまで4回の調査を通じて、「2人目の壁」の存在を明らかにしてきた。6回目となる今年は、子育て世代の2948名に加え、これからを担う20歳~49歳までの未婚の男女987名に対し「2人目の壁」をはじめとした出産に対する意識や、出産・子育てと働く環境に関するニーズ、育児参加への意識などを尋ねた。

 その結果、「日本は子どもを「産みやすい」国に近づいているか」聞いてみたところ、「産みやすい」国に近づいていないと答えた人は72.7%となり、依然として日本は子どもを産みにくい国と捉えられていることがわかった。また、未婚者はさらに多い78.6%が「産みにくい」と感じていた。そして、「2人目の壁」について「存在すると思う」と答えた人は既婚者全体の74.3%で、まだまだ高い状況が続いている。

 労働環境についても聞いてみたところ、69.4%が「日本社会全体の働く環境は良い方向に変わっていない」と回答した。さらに、パパ・ママの65.0%が「子育てに必要なお金を考えると、今は残業(残業代)が必要」と答えており、働き方を変えたくても変えられない事情があるようだ。育休の“理想の条件”の1位は「育休を取ることが復帰後のキャリアのマイナスにならない」(38.9%)で、キャリアを大切にしている人が多いようだ。

 「妊娠・出産」に関する知識を深めることで、妊娠希望年齢が若返ることがわかった。若返りの幅が最も大きかったのは30代前半女性で、34.1歳から31.7歳と2.4歳の若返りがあった。

 1more Baby応援団の秋山開専任理事は、「毎年4月に行っている同調査は、今年で6年目となった。政府や自治体、企業が子育て支援や働き方改革に取り組む中、低迷している出生率を反映するかのように『2人目の壁』を感じている人の割合は依然として高止まりを続け、今年も7割を超える結果となった。同プレスリリースに掲載した『2人目の壁』の要因に関する結果からみても、経済的な問題や働く環境、育児ストレスなど、あらゆる面で日本の社会はまだまだ子育て世代にとって厳しい環境であるといえる。働き方に関する設問の中で、『日本の社会全体の働く環境が良い方向に変わってきていない』と回答した人の割合が既婚者、未婚者共に7割近くにのぼっており、働き方改革に向けた各企業の取り組みが連日のように情報発信されている中、まだまだ日本社会全体に広がっているとは言い難い状況であるといえる」と回答。

 「また今回の調査の結果では、未婚者のうち就職して間もないであろう20代前半の女性の希望出産年齢の平均が27.8歳となっている中、出産のタイミングについて『キャリアに支障のない時期を意識する』との回答が6割にのぼっている。それぞれが希望するライププランを実現するため、企業は新卒一括採用からの単一的なキャリアプランを提示するだけでなく、社員の希望によって多様なキャリアを形成できる環境を提供することが必要であり、このような環境を整備し推奨することが、ひいては妊娠や出産、育児や介護などのライフステージに応じた多様な働き方の実現にもつながってくるものと考えられる」と分析する。

 「今回の調査では、晩婚・晩産化が進行する中、妊娠・出産に関する知識を得ることによって希望結婚・出産年齢が低下することもわかった。希望するキャリアプランとライフプランを実現できる制度と風土の醸成に加え、早いタイミングで妊娠・出産に関する知識を提供することによって、社会環境的にも身体的にも『2人目の壁』は低くなるのではないかと考える」と調査結果についてコメントしていた。

 では、調査結果の詳細についてみてみよう。昨年初めて調査した、「日本は子どもを『産みやすい』国に近づいているか」実感を問う項目。今回も聞いてみたところ、「産みやすい」国に近づいていないと答えた人(「近づいていないと思う」「どちらかといえば、近づいていないと思う」の合計)は72.7%となり、依然として日本は子どもを産みにくい国と感じていることがわかった。昨年と比較すると、2.7ポイント増(昨年:70.0%)という結果になった。また、未婚者にも聞いてみたところ、78.6%と、未婚者のほうがより「産みにくい」と感じていた。このことから、「産みにくい」と感じていることが、結婚や出産への障壁の一つとなっていると考えられる。同様に、「日本は子どもを『育てやすい国』に近づいているか」の実感も尋ねたところ、近づいていないと答えた人が72.7%と、昨年(72.6%)からほぼ横ばいだった。

 2013年から継続的に既婚層に調査してきた、“理想の子どもの数”。今回は全体的に出産意向の低下がうかがえる結果となった。まず、“理想の子どもの数”については「2人」と答えた人が43.9%と最も多かったものの、昨年までと比べて最も低い結果になった。3人以上についても軒並み減少傾向がみられる結果となった。また、2人以上を選んだ人は69.9%と、これまでで初めて7割を切る結果となった。このような出産意向の低下には、前述した日本に対する「産みにくい国」という印象も影響しているのかもしれない。

 6年目になる今回も、「2人目の壁は存在すると思うか」について尋ねたところ、「2人目の壁」について「存在すると思う」と答えた人は既婚者全体の74.3%となり、依然として高い状況だった。ママに理由を聞いてみると、上位は従来と大きく変わらない結果で、「経済的な理由」(84.0%)がこれまで同様1位だった。2位になった「第一子の子育てで手一杯」(49.1%)は昨年に比べ4.9ポイント上昇。3位になったのは「心理的な理由(特に育児のストレスなど)」(45.0%)で、こちらも1.4ポイント上昇していた。

 ママの働き方別で比較してみると、フルタイム・パートタイム・専業主婦いずれも「経済的な理由」(フルタイム:81.1%、パートタイム:81.3%、専業主婦:85.8%)が1 位だったが、2位以下には差が出る結果に。フルタイム・パートタイムのママの2位となったのは「仕事上の理由(産休の取得しやすさ/職場復帰/転勤など仕事への影響)」(フルタイム:57.8%、パートタイム:50.8%)で、働くママが増加する一方で、仕事と出産・育児を両立することは依然難しいことがうかがえる。また、専業主婦の2位となったのは「第一子の子育てで手一杯」(53.1%)。この項目はパートタイムママでは3位(45.4%)、フルタイムママでは4位(41.0%)になっており、より長く子どもと一緒にいるママのほうが感じやすいといえそうだ。「心理的な理由(特に育児のストレスなど)」についても、専業主婦の3位(47.8%)、パートタイムママの4位(45.3%)、フルタイムママの5位(36.3%)となっており、同じく子どもと一緒にいる時間に比例すると考えられる。

 さらに、「現在のパートナーとの家事の分担に満足している」というパパが73.0%いたのに対し、ママは45.2%にとどまり、子育てや家事の負担はママのほうが大きい様子が浮き彫りになった。働くママが増え続ける現代、パパとママが協力しあって子育てや家事をすることが、「2人目の壁」を乗り越えるカギかもしれない(「2人目の壁」は、「生活費や教育費に関連した家計の見通しや、仕事等の環境、年齢等を考慮し、第二子以後の出産をためらうこと」を指す)。

 さらに、労働環境についても聞いてみたところ、69.4%が「日本社会全体の働く環境は良い方向に変わっていない」と回答した。また、未婚者も68.4%が「変わっていない」と回答しており、「働き方改革」がまだまだ広がりに欠けている状況が浮き彫りになった。また、パパ・ママの65.0%が「子育てに必要なお金を考えると、今は残業(残業代)が必要」と答えており、働き方を変えたくても変えられない、という現状もあると考えられる。子ども1人では63.3%、2人で65.7%、3人以上で70.6%と、子どもが多いほど、「必要」と考えている割合が高くなっている。

 ここまで見てきたように、早く帰宅して家族の時間を持つことや、家事・育児を家庭内で分担したりすることは子育て世代にとって重要なことだ。残業を抑制するだけの「働き方改革」では会社にとってのコストカットに終わってしまう可能性もあり、その場合、日々の生活で残業代を必要としている子育て世代がワークライフバランスの改善に積極的に取り組むことにはつながらないと考えられる。「働き方改革」と同時に、残業が減っても賃金が下がらない、新しい評価軸の給与体系を広めるタイミングではないだろうか。

 産休・育休を取得するにあたって気になることを聞いてみると、依然として「上司の目(態度・反応)が気になる(気になった)」(30.8%)が1位だったが、昨年と比較すると5.8ポイント減少していた。一方で、20代では35.5%が「上司の目(態度・反応)が気になる(気になった)」と回答しており、若いほど上司の目が気になる傾向にあるようだ。

 また、育休の“理想の条件”について聞いてみると、1位は「育休を取ることが復帰後のキャリアのマイナスにならない」(38.9%)だった。この傾向は未婚者にも見られ、とくに未婚女性は44.2%が「育休を取ることが復帰後のキャリアのマイナスにならない」を理想の条件として選択している。

 未婚女性の43.2%が「出産にあたって自分のキャリアアップに支障のない時期を意識する」と回答しており(既婚女性は20.5%)、キャリアへの意識が高いこともうかがえる。出産にともなう産休・育休がキャリアに響くのではないか、と考える人たちの不安を払しょくすることができる制度を整えることが、産みやすい・育てやすい職場を作る鍵になりそうだ。

 昨年9月に政府の新構想として掲げられた、「人生100年時代構想」。平均寿命が伸びていく中、人生が100年になることを見据えた社会を作っていくことが発表され、大きな話題を呼んだ。これを踏まえ、「人生100年時代」に向けた取り組みについて聞いてみたところ、実に90.0%が「行いたいと思っているが、まだ実行していない(出来ていない)」ことがあるという結果になった。子育て世代は「人生100年時代」の準備を実行できていないようだ。

 とくに、新たな資格取得や学び直し、副業や転職など、老後の収入確保につながりそうな分野については、希望者の多くが実行できていない状況がわかった。また、職場以外でのコミュニケーションの場として期待される地域コミュニティへの参加や非営利活動への参加については、希望している人の割合が非常に低くなっている。

 「妊娠・出産」に関する知識を問う前と後に、未婚女性(34歳以下)に「出産希望年齢」を問うことで、知識を得ることでどのような影響があるのかも調査した。この項目の対象者全体の平均1.4歳(31.0歳から29.6歳)をはじめ、今回聴取したどの年代も知識を深めることで出産希望年齢が若返ったが、若返りの幅が最も大きかったのは、30代前半女性。34.1歳から31.7歳と2.4歳の若返りがあった。以上のことから、知識を深めることで出産や子育てをより自分ごと化できると考えられ、なるべく早い段階で知識を得ることが、ライフプランを設計する上で重要になるといえそうだ。また、これらの妊娠・出産に関する深い知識を聞きたいと思う時期を聞いてみたところ、「高校の授業」(49.8%)という回答がもっとも多い結果となった。

 インターネットで簡単に性に関する情報を得られるようになった昨今において、性に関する教育(性交や避妊、性感染症、出会い系サイトの危険、LGBTなど)の重要度は高まっている。既婚者層に、どのくらいの時期に性教育を開始すべきか聞いてみた。すると、子どもの有無で違いが現れ、子どもがいる人のほうがより「小学校から」(「小学校低学年から」「小学校高学年から」の合計)を選ぶ傾向があった。子どもがいない人は62.5%が「小学校から」を選んだのに対し、子どもがいる人は71.9%が「小学校から」を選んだ。自分の子どもに照らし合わせて考えることで、より早くからの性教育が必要だと考えるようになるのかもしれない。全体でみると、「小学校高学年から」が半数を超える(55.4%)結果となった。

1more Baby応援団=http://1morebaby.jp


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