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トレンド総研、急増する「資格難民」の実態について調査、資格を活かして就職するためのポイントをキャリアのプロが指南

2018.01.12 21:00 更新

 有効求人倍率が1974年以来の高水準になるなど、求職者にとってかつてないほどの好環境にある中、有資格者の、資格を活用した就業自体は高水準に至っていないのが実状だ。現在、就職・転職のために資格を取得したものの、資格を活かした職業に就けていない「資格難民」たちが多数存在しているとのこと。人によっては、資格の勉強に集中するため前の仕事を辞めてしまい、その後も新しい職が見つからない、というケースもみられるようだ。そこで今回、トレンド総研では、この「資格難民」に注目し、20~30代女性500名を対象にした調査を実施。さらに、「資格難民」に陥らないためのポイントを、キャリアアドバイザーの藤井佐和子氏に聞いた。

 まず、「資格」と「キャリア」に関する意識・実態調査では、「資格を取得したタイミング」について聞いたところ、「学生時代に取得した」(44%)、「仕事をしながら取得した」(35%)、「退職して勉強に専念し、取得した」(13%)などの回答が上位となった。学生のときだけでなく、社会人になってから資格取得にチャレンジしたという人も多いことがわかった。

 具体的な「資格取得の背景」を聞くと、「現在の仕事を何歳まで続けられるか不安になり、長く続けられそうな医療事務の資格を取った」(27歳・会社員)、「今までとは違う職種で働きたいと思い、簿記の資格を持っていると有利だと感じた」(32歳・専業主婦)、「出産・育児で働けない時期に、今後のために就職に有利な資格をと思い、ファイナンシャルプランナーの勉強をはじめた」(39歳・パート)などの回答が挙がった。医療事務、簿記、ファイナンシャルプランナーと、人によって内容はさまざまだが、それぞれ、自身のキャリアを見据えたうえで資格取得にチャレンジしている様子がうかがえる結果となった。

 また、「資格取得にあたっての勉強方法」としては、「スクール」(35%)、「独学」(33%)、「通信講座」(26%)と、大きく3パターンに分かれた。

 では、将来のことを考えて勉強を行い、見事、資格を取得したにもかかわらず、彼女たちが資格を活かした仕事に就けなかったのはなぜなのだろうか。「資格取得後の就職・転職活動において難しいと感じたのは、どのような点だったか」と聞いたところ、「条件にあう募集が少ない」(41%)、「経験者が優遇され、未経験の場合は不利になる」(36%)、「募集人員が少ない」(21%)、「人気の仕事であり、競争率が高い」(21%)などの回答が上位となった。せっかく資格を取得しても、さまざまな理由で、就職をあきらめざるを得なかったという人が多いようだ。

 そこで、「就業を見据えた資格取得にあたって重要なことは、何だと思うか?」と質問すると、「就業までサポートしてもらえるスクール・講座を選ぶ」(41%)が最も多く、以下、「仕事を続けながら資格の勉強をする」(38%)、「就業の実績が豊富なスクール・講座を選ぶ」(31%)、「資格取得後も相談窓口があるスクール・講座を選ぶ」(23%)などの回答が挙がった。資格取得だけでなく、その後の就業までを見据えた行動が重要と考える人が多いことが明らかになった。

 この調査結果を受け、「資格難民」に陥らないためのポイントについて、キャリアアドバイザーの藤井佐和子氏は、「まず大前提として、キャリアを考える際、仕事によっては資格が大きな武器になることがある。とくに専門スキルがない人などは、自信を過小評価しがちな傾向にあるのだが、資格取得をきっかけに、自分に自信が持てるようになったという人も多い。また、未経験から希望の職業を目指す場合は、資格の勉強を通じて必要な知識を前もって習得したり、本当に自分が興味を持てる分野なのかを確かめたりすることも、非常に意味があることだと思う」と、「資格取得」自体は、キャリア形成における大きな武器になると指摘する。

 「しかし、資格を武器に希望の職業に就く人がいる一方で、資格を取得しても希望の職に就けない『資格難民』の人が一定数いるのも事実。とくに『資格難民』に陥りやすいといわれているのが、税理士や社労士といった“士業”。その大きな理由は、市場が縮小している一方で、資格取得者数は増加しており、結果的に競争率が高まっているから。就職先がなかなか見つからなかったり、自身で開業しても仕事がなく食べていけなかったり、という人も少なくない。就業を見据えた資格取得の場合、その仕事のマーケットを見ておくのも重要なポイント。例えば、医療や介護の分野などは、今後、高齢化が進む日本では拡大傾向にあるため、資格を活かした仕事に就きやすいといえる」と、資格取得者数とマーケットのバランスを見極めることも就職への1つのカギになるという。

 「そして、資格取得の方法も重要だ。単に資格を取るだけであれば独学や通信講座でも十分だが、例えば医療事務の資格を取得後、そのまま現場で働きたいなど、その後の就業を見据えている場合は、スクールや講座などのほうがおすすめ。わからないことを気軽に質問できる環境や、現場で実務経験のある講師から生の声を聞ける機会は、非常に貴重であるといえる。とくに、面接の場では、就職をしてから3年後・5年後のビジョンを聞かれることも多いため、経験者の声を聞くことは、十分の将来のイメージを膨らませる上でも有効なので、歴史があるスクールや規模の大きいスクールを選ぶとよい」と、資格取得の際のスクール・講座選びも重要とのこと。

 「また、仕事や育児などをしながら資格取得を目指す上では、一緒に勉強する仲間の存在も、とても励みになるもの。勉強中はもちろん、卒業後も、同じ業界で働く人脈につながっていく。こうした意味では、講師や受講生との相性も大切なポイントになるので、もしスクールの無料体験会などがあれば、一度参加して雰囲気をつかんでおくとよい。さらに最近は、資格取得後のサポート体制を差別化のポイントとして掲げるスクール・講座も増えている。資格を取得した後、就業相談に乗ってくれる、あるいは就業に直結するスクール・講座なども登場しているので、事前に体制を確認しておくとよいだろう」と、資格取得後のサポート体制もチェックしておくことを推奨していた。

 「そして、資格取得を目指す際に、ぜひ覚えておいてほしいのが、『教育訓練給付制度』。これは、働く際の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした、厚生労働省による支援制度。一定の要件を満たした人が、医療事務、ネイリスト、ファイナンシャルプランナーといった指定講座を受講すると、かかった費用のうち20%(最大で10万円)が支給される。詳細については、厚生労働省のホームページから確認できるので、ぜひチェックしてみてほしい」と、教育訓練給付制度も賢く活用して、資格取得の前段階から「資格難民」に陥らないよう準備してほしいとアドバイスしてくれた。

[調査概要]
調査名:「資格」と「キャリア」に関する意識・実態調査
調査対象:20~30代 女性500名
※就職・転職のために資格を取得したが、資格を活かした職業に就けていない人(年代均等割付)
調査期間:2017年12月21日(木)~12月25日(月)
調査方法:インターネット調査

トレンド総研=http://www.trendsoken.com/


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