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トレンド総研、「家庭の電気料金」に関する意識調査、年間約1万円の「再エネ賦課金」を知っている人はわずか1割台

2017.12.27 13:18 更新

 生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研は、20~40代の主婦を対象に「家庭の電気料金」に関する調査を実施した。調査の結果、主婦の8割超が、「冬は、他の季節に比べて、電気料金が高くなりやすいと思う」と回答した一方で、使用者の負担となっている「再エネ賦課金」が徴収されている事実を「知っていた」人はわずか17%であることがわかった。また、この結果を受け、エネルギー分野の専門家である、電力中央研究所の朝野賢司氏に、「日本のエネルギー供給」の実態と課題について聞いた。

 冬、暖房などを使う機会が増えると気になるのが「電気料金」。エアコンを使用しない季節と比べて、金額が増えるという家庭も多いのではないだろうか。この電気料金を左右しているのは、「使用量」だけではない。実は、家庭の電気料金には、「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」の費用が上乗せされている。「再エネ賦課金」は、「FIT(固定価格買取制度)」にもとづいて設定された料金で、「FIT」とは、太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーの導入拡大を図ることを目的に、国が定めた仕組みだ。この制度により電力会社は、再生可能エネルギーで発電された電気を、割高な価格で一定期間買い取ることが義務づけられており、制度がはじまった2012年度以降、賦課金は大幅に増えているという。

 そこで今回、トレンド総研では、20~40代の主婦500名を対象に、「家庭の電気料金」に関する意識調査を行った。まず、「冬は、他の季節に比べて、電気料金が高くなりやすいと思うか」と質問したところ、主婦の85%が「そう思う」と回答した。

 この電気料金を左右しているのが、「使用量」に加えて「再エネ賦課金」。電力会社は、再生可能エネルギーで発電された電気を、割高な価格で一定期間、発電事業者から買い取ることが義務づけられている。そして、その費用は「再エネ賦課金」として、企業や家庭といった電気の使用者が負担している。しかし、今回の調査対象者に、再エネ賦課金が徴収されている事実について聞いたところ、知っていた人はわずか17%にとどまっていた。現在、「再エネ賦課金」の支払額は標準的な家庭で年間約1万円となっている。

 こうした調査結果を踏まえ、日本のエネルギー事情に詳しい電力中央研究所の朝野賢司氏に、「再エネ賦課金」について聞くと、「『再エネ賦課金』は、2012年7月1日から施行されている、『FIT(固定価格買取制度)』といわれる制度にもとづいて設定されている。『FIT』とは、再生可能エネルギーの導入拡大を図ることを目的に、国が定めた仕組みのこと。電力会社はこの制度により、再生可能エネルギーで発電された電気を、割高な価格で一定期間買い取ることを義務づけられている。そして、再生可能エネルギーの買取価格は、火力や原子力などの発電コストと比べてかなり割高に設定されている。家庭の電気料金の場合は、基本的にはすべての人が、使用量に応じて支払うので、使用量が多いほど、『再エネ賦課金』の支払額も増えるということになる」と教えてくれた。

 「実際に支払っている『再エネ賦課金』は、家庭に届く『電気ご使用量のお知らせ』(検針票)に記載されている。必ず『再エネ賦課金』という欄があるので、ぜひ負担額を確認してみてほしい。標準家庭の電力使用量を1ヵ月300kWh(電力量(Wh)=電力(W)×使用時間(h))とした場合、今年度の『再エネ賦課金』単価である2.64円/kWhをかけると792円が電気料金に加算される。これが、夏や冬などの電気の使用量が多い季節の場合、より賦課金の額も増える。年間で計算すると、約1万円と意外と多くの金額を負担していることがわかる」と、家庭での「再エネ賦課金」の負担額は決して少ないものではないと指摘する。

 「『再エネ賦課金』の負担額は、再生可能エネルギーの急拡大にともない増加しており、初年度の2012年度は年間約800円だったものが、今年度は約1万円近くにまで増えている。国全体でみると賦課金の額は約2.1兆円。これは消費税約1%分の税収に相当する。さらに、将来にわたっても大幅に増加する見通しで、電力中央研究所の試算では、2030年度における賦課金を3.6兆円と見込んでおり、これは消費税に置き換えると、約1.6%分と同じくらいの計算になる」と、将来に向けた負担額の見通しを示す。「そして、消費税は、低所得者ほど税負担率が大きくなるため、よく『逆進性が強い』と言われるが、『再エネ賦課金』も同じだ。つまり、同じ電力量を使用すればかかる費用は同じになるため、富裕層よりもそうでない家庭のほうが、家計に対する影響は大きくなる。現在、安倍政権が消費税を2%上げるのに、大変慎重な手続きをしているが、一方では、『再エネ賦課金』によって消費税約1.6%分に相当する負担が家計に生じてしまっているということになる」と、低所得者ほど負担額が大きくなってしまうと説明していた。

 「今後、再生可能エネルギーによる発電量はますます増え、それにともない『再エネ賦課金』による負担も増加していくことが予想される。そのため、再生可能エネルギーだけでなく、火力、原子力など、さまざまな発電方法をミックスした電源構成=『エネルギーミックス』が重要となる。政府および電力会社はさまざまな発電コストの電源をバランスよくミックスすることで、コストの引き下げを目指している。また、再生可能エネルギーは、発電量が天候に左右され不安定なため、火力発電などによる調整電源の確保が非常に重要になってくる。コスト面だけでなく、こうした安定供給などの視点からもエネルギーミックスは重要である」と、再生可能エネルギーだけに頼らない「エネルギーミックス」の重要性を強調していた。

 最後に浅野氏は、「『再エネ賦課金』は、一般生活者が知らないうちに、どんどん上がっている。まずは、日本のエネルギー事情について正しい理解をした上で、消費者みずからが考える必要があると思う」と、「再エネ賦課金」への理解がさらに深まることを願っていた。

[調査概要]
調査対象:20~40代既婚女性500名
調査方法:インターネット調査
調査期間:2017年11月20日~11月21日

トレンド総研=http://www.trendsoken.com/




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